Pアイランド顛末記#53

★特訓

 ステレオボイスブラザースは、三日三晩泣き明かしたあと、計画を実行に移すべく準備にとりかかった。
 敵は手ごわい。本当に手ごわい相手だ。でも、ママのかたきは絶対にとってやる!にっくきマルコムめ!
 二人は、地獄の特訓に突入した。コーチが形見に残してくれた新兵器、「特訓ロボ」の出番だった。
 ジムの天井に並んだ水銀灯があかあかと灯った。ステレオボイスブラザースは、トレーニングウエアに着がえ、グラブを両手に精神を集中している。ジムの床がウイーンといううなりを上げて開き、特訓ロボがあらわれる。ドラム缶のような胴体についた4つのタイヤで自由自在に動き回るすばしこい奴だ。胴体の周囲に取り付けられた8本のアームからは、眼にも止まらない殺人パンチが繰り出される。

 特訓がはじまった。ずるがしこい狐のようにすばやく動き回る特訓ロボに、兄弟は立ち向かって行った。がんばれ!ステレオボイスブラザース。ジムの床はまたたくまに血と汗に染まった。


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