Pアイランド顛末記#35

★ダイビング

 チョコボール島から海にダイブする。ドボン。目のまえの泡が消えて無くなると、ふわふわした浮遊物が体にまとわりついてくる。そのなかを、ときおりぬるぬるした魚がただよう。海底までおりて目をこらすと、Pアイランドを支える鋼鉄の支柱が規則的に並んでいる。某大手造船会社が自信を持ってお奨めするこの海中構造物も今やぼろぼろに錆び付き、小さなフジツボや、巨大化したカキの仲間におおわれている。密生したカキの貝殻の隙間には、透明なヒルのような生き物がすみつき、夜になると緑色の光を放ってうごめいた。
 水面近くの鉄柱に緑色に輝く人形が引っかかっている。例の光るヒルが、身投げした死体を見つけて何万とむらがっているのだ。死体はぼおっとした緑の光をはなちながら、黙って搖れている。


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