Pアイランド顛末記#67
★上空にて
Pアイランドは、沈没した。
「へっへっへえ、痛快だぜ。」
ヒロシが叫んだ。
「しっかしうまく沈んだもんねえ。」
イオも興奮している。
「しかし、おれ危なかったぜ。蝶がもう少し遅かったら、マルコムの汚いブーツの下でくたばってた。」
「ゲンちゃん、悪運は強いからね。」
「ところで、二郎は?」
「もうすぐ来るだろ?」
二郎がやってきた。二郎のうしろにくっついて、なにか親しげな、小さな意識がやって来る。ゲンが言った。
「二郎、なんだい?その後ろにくっついてるやつ。」
「これ、イオちゃんに。」
「なに?」
その小さなもの言わぬ意識は、イオの方へといちもくさんにやって来る。
「ああ、これって、コテツ?」
「そう。」
イオはコテツを抱きしめた。ヒロシが言った。
「さてと、これからどうする?」
「ご自由に。」
と二郎。イオはコテツ抱きしめたまま口を開いた。
「あたし、とりあえずじいちゃん探してみるわ。ひょっとしたら、死んじゃう前に魂ぬけだしてたかもしれないし…。ヒロシもくる?」
「おう、いくよ。ゲンちゃん、二郎、元気でな。…といっても、もう病気も事故もないから、まあ、頭狂わないようにね。」
イオとヒロシ、そしてゾウガメのコテツは、西の方へ漂っていった。
島が沈んだあたりには、戸惑った島の住民たちの魂が群れている。その様子を見ながらゲンが呟く。
「しかし、ちょっと悪いことしちゃったかなあ。」
「なあに、大丈夫さ。そのうちみんな慣れるって。」
「なんか、おもしれえことねえかなあ。」
「なんだよゲン、もう飽きちゃったの?」
「うん。」
「どうしようもないやつ。」
「ホント。」
島が沈んだあとに、崩れかけた自由の女神が一瞬うきあがり、すぐに水中に消えていった。小さな泡が、あとからあとから立ち昇ってきて、水面でぱちぱちと弾けた。
夜が明けてきて、どこからともなくやってきたカモメたちが空き地になった海面をにぎやかに飛び回った。
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