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12. 現代社会のあり方/歪みを考えさせられる3本

おんなじ部署の同期、N氏からのおちゃらけたリクエストw

現代社会のあり方/歪み、ポスト資本主義のあり方を考えさせられる3本を、ぜひお願いします(*´ω`*)

小難しい笑 小難しいけど、解釈が問われるテーマです。ベタに考えればディストピア的なSFってことで、今の歪みを考えるうえで、その歪みが仮に最大化されたとした世の中から示唆を感じ取るってことで、結局2本はSFになりました。もう一本は、あえてのドキュメンタリーで、それもかなり強度の強い、衝撃的なものを、あえてサイレント映画から行ってみますです。結局このテーマって、人間って何をしでかしているのかの本質を、不都合な部分も含めて見て感じてみようってことだと僕は解釈したので、この3本で。

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ガタカ

1997年公開
監督:アンドリュー・ニコル
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出生前の遺伝子操作が当たり前になっている近未来で、”自然”に生まれた主人公の「才能」と「意志」のお話。 シンプルながら重たいテーマを、簡潔ながらメタファーをちりばめた描写で伝えた一作。”意志”は”才能”を勝ることができる、想いを実現することができるという、強いメッセージを感じます。 ユージーンの最後は、彼のなんの意志を表しているのか。悲しくて重い、「人が生きて社会に存在することの意味と価値」への問いかけな気がします。遺伝子のメタファーである螺旋階段を這い登る彼の姿が、あまりに哀しく象徴的。出演者全員がどこか無機質で機械的な表情を浮かべていることが、テーマをより浮き立たせている。この映画から考えさせられる「社会のあり方/歪み」は、”意思は合意性を超えられるのか、超えるべきなのか”ですかね。全体主義と個人の尊重みたいな、「PSYCHO-PASS」とかとも通じる世界観のSFでした。

いのちのたべかた

2005年公開
監督:ニコラウス・ゲイハルター
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肉、魚、野菜など、人間の食物が“食物”になるまでを追った映像ドキュメンタリー。結構、ショッキングです。血がだめな人は見ない方がいいかもしれない。でも、本来、自分たちが食べているものが、生き物だったころから食べ物になる今まで、なにが起こっているのか知らないなんておかしな話。直視したい事実がちゃんととられていました。こうしてみると食べ物はほとんどがもはや工業製品で、そこでは”死ぬために作られる命”が毎日生産されていく。人間ってなんて業の深い生き物なんでしょうね。この映画が撮られてから10年以上たった今では、欧米ではアニマル・ウェルフェアなる概念も結構定着してきて、食糧危機・水危機も相まっておそらく肉が食べられない社会はすぐそこまで来ていると思うんです。だからこそ、食べることとはなにか?おいしいとはなにか?考えさせられるこの映画は今こそおすすめ。セリフは一切ないので、ちょっとアーティスティックな映像作品でもあると思う。グルスキーの写真みたい。淡々と、作り手側の解釈を一切さしはさまずに進んでいく、結構むごたらしい事実を、見る側にゆだねる作品。この映画から考えさせられる「社会のあり方/歪み」は、”人間の作った歪みと人間はどうやって向き合っていくのか”ですかね。ただ、歪みは歪みをただすテクノロジーを作ると同時に、そのテクノロジーによる新たな歪みを生み出し…という輪廻な気もしており。たばこ作って、禁煙薬作って、電子たばこ作って、何がしたいねん人間、みたいなこの輪廻についても考えさせられますです。

マイノリティ・リポート

2002年公開
監督 : スティーブン・スピルバーグ
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予知者の能力により犯罪率0%になった2054年の社会で取締を統括する男に、ある不測の悲劇が襲い掛かるお話し。総論的には「未来のおっかなさ」みたいなテーマなんですけど、サスペンスとしてもまあまあ良くできた筋書きでスリリングにスピード感もって進んでいきます。ある種の「人は自分の未来の予定調和から脱することができるのか」というような、人間の可能性のお話しとも取れるストーリーで、トム・クルーズはその辺の「悩みながら暑苦しい」みたいなのがやっぱりはまり役でいいよねw オチがちょっと、取ってつけたような感じで終わるのだけが残念ですが、まあまあ。この映画から考えさせられる「社会のあり方/歪み」は、”どんなに便利になっても、自分の頭で考えることを忘れずに”ですかね。落合陽一さんも言ってたけど、機械が理屈のわからない高次の情報処理と判断をブラックボックスのAIの中でするようになると、人はとりあえず彼らの出す結論にとって最適化された行動をとるようになり、それって「機械に人間が使われている」状態って言えるんじゃないかと。問題は、それに全面的に抗うってことじゃなくて、”そこは自分の頭と心で感じて判断しないとあかんやん”ってところをどの部分に算定して、全力で頭と心を使うか。そこってことでしょうね。

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人って、心のどこかで人が、怖いんだと思うんです。それは直近にいる自分の知人の底心がしれないっていう身近な怖さとは別の、この人間という自分の属している種が、これからどうなって行っちゃうんだろうか、みたいな怖さ。どんどん加速してどんどんスリリングで楽しくなるジェットコースターに乗っているみたいな。これ、大丈夫なのこのままどんどん早くなっていって??みたいな感覚でしょうか。その怖さって、でも曖昧じゃないですか。「なんか、このままではうまく行き続けないと思う」みたいな。もちろん予測されてる未来のやばさの数字はたくさん出ていると思うけど、もっと、未来を手触りをもって体感することじゃないと見えない視覚ってあって、映画はそこにも何かできることはあると思います。答えはないかもしんないけど、「問」を自分なりにもって、自分ならそれ、どう解くか?っていう仮説を持っている人が少しでも多くなると、未来はちょっとは建設的な方向にいくのかなあとか、改めて3本選んで思う次第。というわけでN氏、家でゴロゴロしながらDVDでどーぞw

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