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3年ぶりの京都を気取ったら、美意識がどこから来るか思い出せた

人間、たまには気取るって、大事ですよね。


3年ぶりに京都に来ております。家族にも無理を言って、一人旅のお暇をいただいて。来年夏頃を目指して書籍の執筆に取り組むという大義を提げて、念願のエースホテルに師走迫る中、ペンとモレスキンで乗り込んだわけです。

ACE HOTEL : 
1999年にアメリカシアトルで創業されたホテル。もともとは創業者が、音楽仲間がツアー中に滞在できるように古いビルを改修し宿を作ったことから始まっている。2022年現在、全世界で9つのホテルを展開。現地のコミュニティと結びついて、音楽やアートのイベントを催し、ローカルと旅人が集い交わる場所になってきた。日本初上陸が2020年、京都。1926年築の旧京都中央電話局を隈研吾氏の監修で再開発した「新風館」に埋め込まれる形で開業。コンセプトの「East meets West」の言葉の通り、ポートランド発のサードウェーブコーヒー「Stumptown Coffee & Roasters」の隣を、民藝の流れを汲む染色作家柚木沙弥郎氏のオリジナルフォントによる案内サインが彩るといった、京都にありながらこれまでの京都にはなかった新たな風合いを街にもたらしている。

さすがはエースホテルというか、デスクと椅子もしっかりと書き物するのにふさわしいもので、LPを流しながら、細尾真孝さんの本を読みながらメモを読みながら。単純なもので、日々日々忙殺されて子供のおもちゃまみれのソファの上で考えるそれとはやはり、思いつく内容の質が違う。なんか結構ちゃんと、ぶっ飛んだこととか、未来の、それも結構射程の遠いことを、着想できる気がします。場の空気というか、世界観というか、そういう美意識みたいなものは空気感染するのだなと。行きの新幹線の中から、執筆のために京都のホテルに泊まりにいくとか文豪気取りかいなという、セルフツッコミが15分に一度くらいの頻度で押し寄せるわけです。ただ、同時によく考えると僕らはこの2年間、だいぶと「気取りを我慢してきた」んじゃないかとも。

その場の空気を取るとかいて、「気取る」と読む訳で、一保堂の本店でお濃茶をいただくことも(自分はお濃茶が大好物だってことも忘れていた)、茶舗ハシゴして柳桜園で土曜限定の手煎り焙煎焙じ茶を買えたことも、HOSOOのフラッグシップで丁寧に一つ一つ織の説明をしてもらったことも、夜にラウンジでカモミール飲みながらDJ聴くことも、そのままレイトショーのアップリンクまで歩いて行って映画見ることも、こうして文字に打ち出すとざわざわするんだけど、「したいことをして、欲しい気を取ってきた」ということなんだなと。ありたい自分であるためには、欲しい気をちゃんと「気取っていく」ことを、恥ずかしがらずにやらないと、「別にいいや、なんかもったいないし、めんどくさいし、ゴロゴロして過ごそう」のその先にあるのは、自分自身の有り様にもどうでも良くなってしまう未来なのかもと気づいた。

沙弥郎を頭に起床する幸せ

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エースホテルと、ホテルが埋め込まれている新風館の持つ「気」が僕は好きで、そういう「自分がどんな気が好きなのか」という感性とか美意識も、気取らないと忘れるというか、気付けない。そういうことって、どうも必需じゃないと思われがちだから、お金的にも時間的にも投資の優先順位があと回しにできてしまいがちだからこそ、こうして予定作って飛び込んでしまうのが一番で。

いろんな二律背反を「&」してるところ、ACEの好きなところ

アガサ・クリスティはその創作のほとんどを、洗濯部屋のなんでもない台の上で生み出したという話のように、とにかくなんでもいいからどこでもいいからこだわらずに物事を進めよというのも真理だと思う。最良の書斎を求めるなり電源カフェを開拓するよりも、いいからとっととDOせよというのは、人の能力の地肩として大切なのは忘れずに、でもその上でさらに「いい気を取って」美意識を上乗せすることの威力みたいなものを思い出せた京都。もうちょっと書き進めて、また東京でゴミゴミ頑張りたい師走。

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