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続:無茶ぶりはチャンス~自分で自分に無茶振りしたら楽しかった話~

とあるIT企業でプレゼン研修を受け持って、今年でもう3年目になる。

今日も例年通り、クリニック方式の研修を行った。

クリニック方式とは一般的には知られておらず、音楽家のマンツーマン指導がそう呼ばれることがある程度である。1人1時間ずつの持ち時間でマンツーマン形式でプレゼンを直接フィードバックしていく間、他の受講生はそれを聴講する、という方式だ。

1人あたりのプレゼンの持ち時間は10分なので、一度通しでプレゼンさせて、残り50分でフィードバックと練習をさせていく。それを6人繰り返して、丸一日6時間の内容になる。

…という手筈だったのだが、途中で体調不良を訴えて早退した人がいたので、突如1時間の空きが生まれてしまった。

うーん、どうしよう。
クリニック方式をとるときはあくまでも受講生のプレゼンをベースに指導をしていくので教材は一切用意していない。つまりこちらは基本的に手ぶらでクライアントに伺っているので、教えるネタを準備していないのである。

もっともこの場合、空きが生まれたのはこちらのせいではないし、そのまま1時間「巻き」で終えてもよかった。

…が、それも面白くないと思っていた。
なにしろ、同じ形式で3年も研修を繰り返しているので、自分でもマンネリを感じてしまっているのが否めない。このままでは満足度は逓減してしまう。

だが…もしかしたら、このハプニングはマンネリ打破のチャンスかもしれない

…と思ったので、
5人のクリニックを終えた時、思いつきに任せて、こう切り出した。

「時間余ったので、ちょっとこんなことやろう。1人ずつ順番にPCをプロジェクタに繋いでください。僕がみんなの資料を使ってお手本プレゼンをします」

ちなみに、彼らの作ったプレゼン資料は僕にとっては先ほどのクリニックの時点で初見。つまり、「ほぼ初見の資料で全アドリブの10分プレゼンを立て続けに5本やったるで!皆それを見て盗めるとこ盗んだらええねん」という提案である。

もちろんそんな芸当はやったことがない。
できる自信も半信半疑だった。

だって、その5本のプレゼンの内容は
・サイバー攻撃対策のソリューション
・社内インフラ(音声関係)の提案
・デジタルサイネージ関連サービスの提案
・保全業務システムの提案
・ネットワーク再構築の提案
というものである(守秘義務があるので少し改ざんしたが、大体そういうやつだ)。

見ていただければわかるが、一介の会計士である僕にとっては全く専門外の領域であるし、意味をよく知らない単語すらも少し紛れ込んでいるほどである。やればミスる可能性は高い。

が、どうせ余った1時間だし、失敗してもリスクはなかろう。万一うまくいけば喜んでもらえるだろうし、たぶん得るものも大きい。

…と思って提案したら、案の定、皆大喜び。

自分の提供資料した資料を使って僕がプレゼンしている間、受講生は各々のスマホでビデオを撮っていた。後の参考にしようというわけだ。そのためプレッシャーは倍増したが、望むところだ。

結果はどうだったか?

まぁ僕がわざわざこんなnoteにのこすほどだから、失敗はしてないよ。うまくやり切りました(余談だが、時間は5本とも10分±10秒で仕上げたった)。

受講生も主催した人事部の人もめちゃくちゃ喜んでくれたし、自分自身もいろいろな気づきがあった。

…かつて「無茶振りはチャンス」というお題のnoteを書いたが、自分の商売領域が明確になるにつれ、無茶ぶりしてくれる人はだんだん減ってくる。だから今回のハプニングを逆手に取って自分に無茶振りを仕掛けてみたわけだが、なるほど無茶振りとはチャンスだったな、と改めて感じた。

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