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ためしてから選んでください

わたしはもう働かない。と、彼女は言った。わたしには人に合わせて働く能力がない。この3年でそれがよくわかったから、もう働かないことに決めた。でも、働かないと生きていけないから何か手に職を付けようと思うんだ。とりあえず、世界を見てくるよ。そう言って、彼女は行ってしまった。

わたしは笑顔をつくる。上司のどうでもいい話に心の中で舌打ちしながら。そうやってお給料をもらっている。これから定年まで40年くらい。「仕事があるだけ幸せ」「雇ってもらえるだけ幸せ」そういう世間一般の価値観の中で、心が腐っていくのを間近で見ながら、それが生きる対価なのだと笑顔をつくる。

さて、彼女とわたしは40年後どちらがしあわせでいるのでしょうか。

#エッセイ #ひとりごと

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