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チョコレート屋さんの話


みなさんはバイト経験はあるだろうか?
まぁ私と同年代の大学生の大半は経験があると思う。

私の場合は、高校生の時に親や学校に隠れて単発バイトをしたのが、初めてのバイトだった。
10回に満たない程度は行った気がする。
覚えているのはティッシュ配り、よくわからない宗教のポスティング用セット作り、L◯Hグループのグッズ倉庫のピッキング、某猫輸送会社倉庫での配達物の仕分けなど。
周りに秘密にしていた為、エピソードトークとして語ることも少なく、初めて給料を貰った時の感覚や使った時の感覚は忘れてしまった。
でも、確かいつも、池袋の雑居ビルに取りに行き、その足で地下アイドルのリリースイベントに行き、使い果たして帰っていたような気がする。ヲタクの鑑だ。


大学生になってからは単発バイトは登録を削除し、別のバイトに取り組んだ(でいる)。

一つ目は塾講師。
教育学部のある大学に行く為に高校生の時に生徒として入った塾で、そのまま講師として働かせてもらえることになった。
「先生」と呼んでいた人と働くのは気まずかったが、それでもやりがいが大きく、自分が出来ることを努力するのが心地よかった。今でも働いている。

二つ目は試験監督。
大学受験シーズン、模試の監督で高校の部活動の先輩に偶然立ち会われたことがあり、「あっこれ普通にアルバイトがやってるんだ〜受験終わったら申し込も」ということで、始めた。
案外楽しかったし、責任者のおばちゃんに「貴女声がいいからアナウンスがはっきり通るわね!来年のお給料あげちゃうね!」などと言われ優遇を受けていたが、コロナ禍で試験数が減ったり、そもそも土日を1日潰して働きにくるやつは結構当たり外れが多く、ほぼ単発の形なのでどんな人と働くかもわからない怖さ、めんどくささで何度かブッチもした。
去年度は優遇してくれたおばちゃん責任者にも会えず、やる気を失ったので、先日退職した。

三つ目は某チョコレート会社の短期アルバイト。
この記事で話したいエピソードの本筋である。お待たせいたしました。

大一の秋に「春休み暇すぎるなー。2月3月で働ける短期バイト探すかぁ!」となった時に、アルバイト募集アプリにバレンタインとホワイトデー限定!時給1200円!とデカデカと広告を出していた”あの”有名チョコレート会社を発見。
「んーー。チョコレートは好きだけど、高級チョコは食べないしなぁ。受けてみるだけ受けてみるか!」とフラフラ面接に行ってみると、日程がとにかく空いてる人が採用とのことで、暇人引きこもり大学生の私はすぐに採用された。
結局、大1の終わりの春は勿論、その後も縁があり、大2、大3も働かせていただき、今に至っている。

高級チョコレートを日常的に食べられるほど金持ちなわけではない私は、この某チョコレート会社のことを何も知らなかった。
でも今は本当にとっても大好きで、友達のギフトや誕プレでここぞとばかりに布教している。


何がすごいかっていうと、もう全部すごい。 


まずチョコレートへのこだわり。
私が働いていた期間の限定のチョコレートは粒チョコレートが6粒、板チョコレートが2枚の8種類×バレンタイン・ホワイトデーの2シーズンの合計16種類が新しく登場する。テイストもテーマに合わせて甘酸っぱかったり、爽やかだったり、見た目が派手だったりと凝っているものが16種類も出る。
しかも、これらは使い回しではなく毎年種類が全て違う。
だから今年のバレンタインのチョコレートは今年しか食べられない。


え?そんなこと言われたら買うやん?ってなる。
私は毎年爆買いしている。


しかも、日本人の舌に合わせて日本用のチョコレートを作る専属の人が1人いて、その人が全て作っているらしい。
外国企業だけど、日本人に馴染んでいるのはきっとそういうこと。


それもすごいが、結局1番すごいのはスタッフなのである。

とりあえず、店長がすごい。
大1の時の店長は、姉御肌のperfumeのあーちゃんみたいな顔立ちの人だった。

実は私はこの大1の2月に父親を亡くした。

☝️この記事は父親が亡くなった時の話、興味あれば。

店長に「実は父親が危なくて、いつ連絡が来るかわからないんです。今日かもだし、明日かもだし、1週間後かもしれません」と言った数時間後に、昼休憩のタイミングでスマホを確認したら、病室に向かっていた母親から訃報があった。

それを告げると、躊躇なく店長が私を抱きしめてくれて(ギリギリコロナの影響がない時期でした、)、「深呼吸して、大丈夫だからね…大丈夫…」と言って、「早退処理しておくから、今すぐお父さんのところ向かいなさい。こっちは心配いらないから!」と、頭が真っ白な私に指示出し。
ちなみに、この時私はめちゃくちゃ焦ってて、ショッピングモール内のどこかで指定の帽子を落としたらしい。そのくらいテンパってる私に的確なサポートをしてくれた。


また、この店長だけでなく、もう1人印象的なスタッフさんがいた。とにかく美人だった(笑)
前職はCAさんだという彼女は明るく、知的で、人懐っこくて、優しい人。
上に書いた父親の訃報を受けた際、なんで私が泣いてるのか知らないはずなのに、ゆっくり背中をさすって「いっぱい泣いてからで、大丈夫だからね」と声をかけてくれた。
ハァ。Ms.Perfectだったなぁ、、、。

この日ほど人のありがたみ、やさしさを受け取った日は他にないかもしれません。

大2、3の時の店長はとにかく朗らか!穏やか!そして丁寧な店長!
私がミスをすると「とんでもない!こちらこそ〇〇足りなくてごめんね!ありがとう!」などと言う。こっちがミスをしたのに!小さなミスだけでなく、大きなミスの時もそういう言っていた。完全に菩薩である。

この店長のすごいところは、店長本人だけでなく、他のスタッフも何故か店長クローンかのように優しく化けていくところである。優しさに触れた人って、優しくしようって思えるらしい。
というか、ひねくれの具現化みたいな私もこの店長と働いていると、何故かめちゃくちゃ素直に優しくできた。
お客さんに対してもめちゃくちゃコミュニケーション取るようになったし、スタッフに対してもめちゃくちゃ話しかけるようになった。菩薩ってすごい。

また、この店長時代に入ってきた1つ年上のスタッフさんも印象的だった。このチョコレート会社はホワイトデーの時期の催事場を新卒1年目に任せる風習があるっぽく、その年も例によって催事場担当は短期2年目の私と、新卒1年目のリーダーというねじれ国会(?)が起こっていた。
普通なら、向こうが威張っていい立場だが、「去年はこれはどうやってました?」「こうしたいんですけど、どう思いますか?」など短期バイトのわたしにも色々聞いてきて、とにかくこの場を一生懸命全うしようとしている姿がカッコよかった。
このスタッフさんとは結局次の年も催事場でバッティングしてマブになってしまった。
この4月から私の大学の乗り換え駅の店舗に異動になり、既に2回ほど訪れている。


はじめは、ただの暇つぶし&お金稼ぎのつもりで始めたバイトだったが、今ではこだわりや最高のスタッフ陣を持つ某チョコレート屋さんそのものが大好きになってしまった。
会社の公式インスタグラムもフォローしているし、3度の春を過ごした店舗にも時折顔を出してはドリンクを飲み、友達へのギフトを買っている。


このチョコレート会社でのバイト2ヶ月×3回を通して、特にやはりスタッフの温かみに感動した。
全員が人の温かみを持った組織になる、ということはそうなるべくしないと作れないと思う。

全員がその会社の誇りを持って店頭に立ち、みんながもっと盛り上げたい、売り上げたいと考えながら、工夫しながら、努力している人しかいない環境って単純にすごいなぁと。

上に立つ者だったり、組織の環境だったりってやっぱり大事ですよね。
ちなみに時間的にもホワイトで、スタッフが残業している姿も3年間で1回しか見たことない。

今就活をしている(いや私はあんまりしてないわ。周りの友達が、というのが正しいね)なかで、いろんな希望条件や優先度があると思うけど、私はやりたいこと、働きやすい環境、拘束時間を優先して考えている。
その点で言えば、このチョコレート会社は超優良企業だと思った。


やっぱりそういう面をみると商品も買いたくなっちゃうよね。

これからは自分のニーズに合っているから!ではなく、個が己のセンスや感覚を信じて突き進む時代だと思う。

きっと会社の好感度や企業体制が今以上にモノを言うようになった時代に、このチョコレート会社はもっと強くなると思っている。
そしてそんな企業に少しの間でも身を置いて働けたこと。
これからもめちゃくちゃ誇りにしていきたい。



【ひとこと】
今年度は働けないからチョコレート売りの少女はこれにて引退です。すごく思い出になりました。あ、サブレショコラは絶対買いです。

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