忽然と消えた夏の残り香に合う曲10選
8月のとある週までは、朝6時台でも痛いほどに肌を刺す陽射しで、肺呼吸はもとより、皮膚呼吸さえもできないほど重たい湿度が身体にまとわりついていた。まとまって降り始めた雨は、それらをすべて洗い流し東京から夏を遠ざけた。
タオルケットにくるまる心地よさで室温の降下を感じ、夏の終わりを寝ぼけた頭と身体で受け止めるといういつもの儀式ができなかった今夏。忽然と消えてしまった夏を思い出しながらも、戻ってきてほしいわけではない気持ち。そんなタイミングで聴くといい気分になれる10曲です。
10. Summer Situation / STUTS x SIKK-O x 鈴木真海子
タイトルにSummerがついているけど、長袖Tシャツとショートパンツにアイランドスリッパのスウェード、みたいな暑いんだか寒いんだかわからない格好ができる日、つまり夏と秋のはざまが合うなと思う。
9. My Ever Changing Moods / The Style Council
MVは完全なる冬景色だけど、ほどよく重さと軽さが行き交う曲調のせいか何となく秋の始まり認定の1曲。あと、なぜか「戻れない」感があると思う。なんでだろう。
8. Samba Magic / Basement Jaxx
夏でしょ。な音を最後に聴いておきたい未練を達成するための曲。本当は夏にやりたかったんだよなってことを思い出せたりするので、結構重要。思い出すだけで別にやらないんだけど。
7. Cold(feat. Lizzy Land) / Marting Ritual
夏の朝4時前くらいの空のグラデーションを音にするとこうなんだと思う。確かドラマSUITSの最終シーズンでも使われていた。
6. Right Here Waiting / Richard Marx
だいぶ昔の曲だけど、びっくりするほど色あせない。朝、今日はアイスコーヒーをやめて熱いのにしようと思う時に歌っていることが多い。
5. edbl / Nostalgia (feat. Taura Lamb)
近所の飲み友達、といっても20くらい歳の離れた若者が教えてくれたアーティストがとてもよく、今年からランクイン。冷たくなった床をはだしで歩きながら、靴下履かなきゃと思っているのに、履くと夏の終わりを認めることになる気がして、何に対する抵抗かわからないけどはだしで過ごす時間によく合う。
4. At Your best(You are love) / Aaliyah
同い年の彼女は、永遠に22歳だ。あの事故がなかったら、今どんな曲を作るんだろう。リビングのオーディオで小さな音量でこれをかけてソファで本を読む時間が増えると、秋が来たなと思う。
3. ラビリンス / MONDO GROSSO
いつまでも明るいと思っていた夏の長い夕方が、いつの間にか普通の長さの夕方に戻っていて、もうちょっと長い夕方をいろいろ楽しめばよかったなという瑣末な後悔をする時にぴったり。
2. Adios Ayer / José Padilla
暴力的な強さではなくなった、でもまだ夏の匂いを含んだ陽射しと相反する冷たい空気の中で、だらだらしながら聴くのが最高にいい。ホセももうこの世にいないんだなぁ。
1. 夏が終わる / スピッツ
この曲は正式なものがYouTubeに上がっていないので、これもいつかは消えてしまうと思う(だからCDは絶対に手放さない)。うろこ雲、ビーサンでちょっと冷たさを感じる夕方、いつの間にか聞こえなくなっているセミ。みたいなものが全部メロディになっていて美しく、そして少しさみしい。
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