貴方と私の間にだけ存在する常識。
それが「目に見えない常識」。
誰にも理解されない暗号を読み解くことができる二人。それは、生まれたときから授けられた辞書を持つ二人にしかわからない暗号のようなもの。

離れていても、瞬時にお互いの胸の内が透けて見える。
貴方が誰かに伝えた言葉を受け止めて貰えなかったとき、私の心は何の脈略もなく痛みだす。
そして、私は手を広げる。貴方がすぐにこの胸に飛び込んで来れる場所を作るために。

良いことばかりではない。
貴方が他の人と愛し合う様子が、手に取るようにわかってしまう。知らなくてもいいことまで知ってしまうのだ。逃げられない関係性。
その逆もしかりで、私の気持ちも貴方は手に取るようにわかってしまう。

だから、私が人生を諦めそうになったあのとき、貴方は何も言わず驚くような方法で助けてくれた。