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とぶとりの こゑも聞こえぬ 奥山の

題知らず
よみびとしらず

とぶとりの こゑも聞こえぬ 奥山の 深き心を 人は知らなむ
                     (恋歌一535)
※とぶとりの こゑも聞こえぬ 奥山の:「深き」にかかる序詞。

飛ぶ鳥の声さえも聞こえないような奥深い山、その山と同じように、深く深く貴方を思う、私の心を、あのお方には知ってもらいたいと思うのです。

決して声に出しては言っていないけれど(これからも、そんなことは誰にも気づかれないようにするけれど)、私のあなたへの、本当に深い思いを知って欲しいと詠む。

古今和歌集だけではない、日本の和歌の中でも、最上級に位置する恋の名歌と思う。

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