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シン仮面ライダー観た。ラスボスは身体で

ネタバレ⚠️
みてほしいです。雑音気にせずに。

https://youtu.be/PUcK-59_ykI

世代ではない人たちには困惑の映画だったかもしれないです。しかし、ささる本郷猛と一文字隼人でした。
放送当時1号ライダー本郷猛は意志に反して改造され怪人となり人間ではなくなった身体について悩んでいました。今回は怪人になった悲哀の先、暴力を行使する身体に悩んでいます。暴力を行使する身体を持て余し苦悩する。本郷の孤独と悲哀は踏襲されていました。当時私は幼稚園児だったけれども、本郷猛の孤独と悲哀に惹かれて仮面ライダーが好きになりました。
本郷猛、あの人は生真面目な人なんです。対して一文字隼人は軽やかで軽口も言えるし本郷猛の悲哀も孤独も共感できる賢さもありコレぞ2号ライダー!しかも色気が漂って女子にモテる要素アリ、まさに一文字隼人でした。
細かいテレビ版の雰囲気、ネタについて来れない人は「振り切るぜ!」という映画ではありましたが初見殺しで観る価値なしでは絶対にないです。胸を張って傑作とはいえないし映画として出来が凄いわけでもない。
それでも観て損はない映画です。

諸々の設定アップデートは苦肉の策なのがひしひしと伝わってきました。既出なのかもしれませんが。秘密結社ショッカーの設定も目的も宗教絡みなのは現代では1番よい落としどころで、緑川親子が過去ショッカーの思想に心酔していたけれど今は目覚めてショッカーを抜けた、というのも宗教二世のようで理解できます。魂だけ本心だけの世界なんて地獄でしかない。変身についても科学的に説明しようと苦心してるなぁという印象です。そのアップデートの中でも空間に存在するプラーナを集めたり体内に集積できるという設定はイマイチフィットしてない気がしました。チャクラとか何となく目に見えないオーラなどの言葉、手垢がついたそれらでないものと推察しますがプラーナと言われる度に違和感はつきまといました。でもこれがエネルギーや力の根幹を表すには最適解でしょう。ラストは駆け足で漫画版の最終回をほぼ踏襲しています。2号ライダー一文字隼人と本郷猛は一体となるわけですが、ここでプラーナ設定が何故なのかハタと気がつくしかけです。プラーナは仮面に本郷猛の意思を纏わせるための設定だったのですね。漫画は脳みそだったはずなので、今の時代脳みそではちょっとねぇ。ということでしょう。
2時間という制約の中、駆け足で盛り込んでるけれどもついてこれない訳でもない、という絶妙なところで構成されていて怪人を倒すペースもロードムービーよろしくルリ子と本郷猛がバディになっていく過程もギリギリ納得出来る配分でした。正直ちゃんと盛り込めてると感心しながらみていました。なので駆け足になりますけれども。
何より主演3人俳優陣の身体性が説得力を持って存在していて、もう本郷猛の孤独と悲哀をあれだけ体現できる俳優は他に思い付きますか?一文字隼人の軽さと重さと色気を顕現できる人は今、柄本一文字以外いますか?この2人連れてきただけで半分成功です。スーツアクターに依頼せずご本人でアクションされていたそうですが監督は最終的にその身体が仮面ライダーそのものになることをご存知だったのでしょう。仮面を被った池松本郷の佇まいは完璧でしたし柄本一文字はみんなが好きになるキャラクターでした。ライダー共闘のシーン「そこは呼び捨てだろう本郷!」いいですね一文字隼人大好きです。そして、はちオーグとなったひろみの好きな「るりるり」こと緑川ルリ子です。ルリ子は人形のような部分と老成した部分を内在させてないといけないのですが「用意周到なの」と言うほど用意周到にみえない。それでも「まぁ、いいか」とねじ伏せてしまうほどの可憐さでした。もう少し年齢が行くと池松本郷とのバディとしてバランス悪くなるし、たくさんの人が指摘してるけど綾波なんでしょう。それでもルリ子はクールで今作でより魅力的になりました。
そして、ラスボスはルリ子の兄役、森山未來さん。正直怪人よりご本人の存在の方が怖かった。これも身体性でしょうか。スーツよりも本体の凄みの方が強いひとなんでしょうね。あれは踊る人だからなのかもしれないです。俳優よりそちらの性質の方が強いのかもしれません。
怪人体より本人の方が怖い、というのは死神博士を演じた天本英世さんがイカデビルになった途端怖さが半減したのを想起しました。俳優の身体性が最重要というよい見本です。本当にラスボスの身体は難しいです。敵が怖くないと成立しないのです。殴り合いに至るのが最適解です。結局AIがラスボスといいながらそうでもなく。物理的な破壊でお茶を濁され家族の問題を解決してショッカーとの戦いは続いていきます。

別に新しい視点(があるならば)とか大衆受けも興行成績も(それは高いほうがいいですが)もういいです。変に米津玄師に主題歌頼まなくて良かった。あれは昔の主題歌達で大正解です。私は、満足しました。
もう一度観に行くと思います。
映画として私は好きです。

オタクなこだわりだってみんな(世代の人達だけでなく)嫌だったですか?絶対「わぁ」となったはず。サイクロンで風切ってるだけで「おおおっ」ってなるじゃないですか。もうライダーキックの度に「かっこいい」って小声で呟いていました。
別にいいんですよ。ノスタルジーです。
欲を言えばもっと怪人たちにも活躍の場があればよかったですけど。あまり興味がなかったのかな。
半世紀後にこんな美しい仮面ライダー魅せてもらえて。庵野監督、ありがとう。恩返しとか誤魔化さなくていいですよ。これが作りたかったんでしょう。私も好きです。
仮面ライダーという強大な身体と格闘されてある意味原点回帰がラスボスだったのかもしれないですね。

映画として異形かもしれない。
でも仮面ライダーは異形のもの。
異形の身体を持った美しい映画でした。


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#池松壮亮 #柄本佑 #浜辺美波
#本郷猛 #一文字隼人

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