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シンデレラボーイの常連異聞録 ー沖縄の「へそ」うるま市石川のローカル生活(15)

うるま市石川の繁華街でひとり飲み歩くようになってから、顔見知りがずいぶんと増えました。気をつけなければならないのが、常連のお客さんと飲んでいると、深酒になるのがデフォルトな点です。どうも沖縄県人の飲み方は、若い人も年配の人も、日付が変わってからが本番!的な傾向にあります。

これはひとつには、電車がないので終電という概念もなく、タクシーで深夜料金の時間帯以降は帰宅のコストが変わらないというのがあります。また、日中は暑い上に日が長いので、日がとっぷり暮れてからゆっくり酒を楽しむという習慣もあったかもしれません。泡盛を水で割ってちびちび飲む飲み方も、長居向きです。

何も考えずにお付き合いしていると土日の午前中が二度寝で潰れてしまう上、深酒だと翌日しばらく車も運転できないので「自分、シンデレラなんで魔法解ける前に帰らないと」と冗談を飛ばし、ブーイングを受けながらも日付が変わる前にタクシー呼んでもらって帰宅、を心がけていました。

誰得情報な気もしますが、印象に残っている常連さんとの思い出をつらつらっと綴ります。なお名前は全員仮名で、支障がない程度にぼかしたり改変したりしているつもりですが、もしお気づきの点あればご指摘ください。

・オオシロさん
船乗りです。海外と行き来する貨物船ほか色々な船に乗っていた経験があるそうで、家族は沖縄に住んでいるけれど一回の航海で数ヶ月は帰れないこともザラだったとか。いつもの居酒屋の常連さんで、地元トークとは一線を画した海外でやらかしたあれこれの話が面白くて、楽しく聞いていました。ただ酒が回りすぎると方言も相まって何言ってるのか全くわからなくなります

・ウカジさん
彫りが深い顔立ちにガタイが良くて、アメリカ人とのクオーターだと話していました。金武町で仲間とビリヤードしていた時に居合わせた米海兵隊と集団喧嘩になり、日本の警察とミリタリーポリスが呼ばれてそれぞれ連行されたところ、ウカジさんはアメリカ人と勘違いされミリタリーポリス側に連行された、という若かりし頃の武勇伝に爆笑しました。腕立て伏せ100回させられて解放されたそうです。

・シュンタ
オオシロさんの後輩で、とあるバーで飲んでいるところに居合わせて顔見知りになりました。同年代ということもあり二人でもう一軒飲みに行ったのですが、初対面の夜なのに「今日、泊めてくれんか?」と頼まれて断ったところキレられました。「金武町までタクシーで帰るか路上寝しろっていうのか」とベロベロになって絡まれるのに面倒くさくなり、タクシーに放り込んで「この人、金武町方面で」と運転手さんに声をかけて送り出しました。

・ビンゴおじさん
沖縄のカジュアルなバーだと、面白いことにだいたいカラオケが備わっています(もちろんそんなものはないクラシカルなバーもたくさんあります)。この方は、とあるバーに高確率で出現するおじさんで、カラオケのビンゴ機能を使って、他の常連とずーっとビンゴをしています。聞くところによると、とある中小企業の社長で、パチンコに飽きたのでビンゴにハマっているとのこと。知らんがな。僕にも「ビンゴやらんか?」と声をかけてくるので極力避けるようにしていました。(カラオケが使えない他の客も不憫。なおそのバーはその後潰れ、ビンゴおじさんの消息は不明に)

・アヤネさん
あちこちのスナックやバーを飲み歩く、石川で有名な地元企業の御曹司がいました。彼女はこの御曹司にいつも連れ添って、お酌をしたりカラオケの手配をしたりしている謎の黒髪美女で、しっとりした独特の雰囲気を持ち合わせていました。他の常連とも穏やかに雑談を交わしてくれます。バーのお兄ちゃんたちと飲んでいるときに出くわした夜は「秘書?」「恋人?」「どういう関係?」と悶えて中二のような会話をしていたのも今となってはいい思い出です。

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