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沖縄の、東の果てに行ってみた ー辺境離島探訪 北大東島①

県外の人にとって、沖縄といえば大人気なのが離島の島々です。宮古島、石垣島、久米島、慶良間諸島……など、輝く海の美しさや自然の豊かさでいえば沖縄本島より評判が良かったりして、それぞれに根強いファンがいます。

しかし沖縄に暮らしている当時、僕が考えたのは「どうせなら、住んでいる今だからこそ行く気になるが、県外からは観光でなかなか行かないような島々を巡ってみよう」ということ。そんな離島旅行の記憶をたどります。

北大東島……って、県外の人は聞いたことありますでしょうか? Google Mapでちょっとマジメに沖縄本島との位置関係を見てみてください。

遠っ!  と思いますよね。 沖縄県に所属する北大東島・南大東島(市町村はそれぞれ北大東村・南大東村)に人間が住み始めたのは、明治時代。琉球王国時代は無人島だったところ明治に入り、企業がリン鉱石の発掘や黒糖の栽培のため開拓。東京や沖縄から人が移住して集落を築いたという独自の歴史を刻んでいる島です。

珊瑚礁が隆起してできた島のため、いわゆる「沖縄イメージ」の美しい海と白浜は皆無。ゴツゴツした断崖絶壁と、濃紺の太平洋が島中を取り囲む風景です。もう逆に行くしかなくね?と、2016年、南北の大東島をめぐる3泊4日の旅に出ることにしました。

那覇空港からRAC(琉球エアコミューター)の飛行機に乗り込み、東へ飛ぶこと1時間。(なお僕が今まで乗った飛行機の中で最も小さな機体でした)

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北大東空港に到着です。かわいい空港、と思わず顔がほころびます。

なお北大東島への行き方にはもう一つあり、那覇の泊港から出る定期便に乗船して船内で一泊後、船から上陸することもできます。この場合、なんとコンテナに乗せられてクレーンで豪快に上陸するという貴重な体験をすることができます。公式Twitterに画像がありました。これは乗船ですが、こんな感じ。

先ほど述べたように北大東島の周辺は断崖絶壁で、また太平洋の高波も強烈なため船が接岸できる港がなく、このような形の入島・離島になるのだとか。なかなかできる体験ではないので興味はあったものの、船酔いが酷い体質で船旅に自信がなかったこと、また船は週に一便で、旅程と合わなかったことから断念しました。

さて話を戻して、北大東空港では、宿泊先の宿の従業員のおじさんが、車で迎えに来てくれていました。僕ともう一人の若い男性が、ワゴン車に案内されて乗り込みます。

おじさんが「ふたりとも何で来たの?」と声をかけてくれます。僕が「あ、観光です」と答えると「珍しいねぇ」と面白がります。もう一人の男性は「郵便局の監査で来ました」とのこと。なるほど、島には役所や警察、郵便局はあるようですから、そういった旅もあるのだな、と変に感心しました。

「ちなみに今走ってるのが北大東島のメインストリートだから」とおじさんに言われて周囲を見渡しましたが民家はおろか、田畑もなくて薮ばかりなんですが。島の見取り図は、空港にあったマップが下記写真のような感じで、空港が東の端、僕が宿泊する施設が北西の端(西港の側)にありました。

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観光客というのは基本的にあまりいないため、宿泊施設も仕事関係(公共工事など)で来島する人を主な客として営んでいるようです。到着した宿は、いささか昭和を感じる建物でした(下記写真奥の建物)。

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宿に到着後、早速島内の探索に出ることにしました。自動車のレンタルは滞在中はできないと聞いていたので、自転車を借り受け、汗をかきかき出発です。

まずはいい具合に空腹でしたので、近くに立地する「レストランはまゆう」で、大東島名物、大東寿司を注文しました。

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マグロとサワラを醤油とみりんの「漬け」にした寿司です。大東島に移民として入ってきた八丈島の人々の伝統的な「島寿司」がルーツと言われています。

ぱくっと口にすると、さっぱりとした身が口の中でほろほろと崩れるほどにじんわりと甘く、元々寿司は好物なのですが、これは美味しかったです。

ちなみに店内は僕の他、年配の客が2、3組。昼からお酒を飲んでおり、観光客なのか地元の人なのかなんとも判別しかねました。

腹ごなしの後に向かったのは、リン鉱石貯蔵庫跡地。リン鉱石の採掘で栄えた時代の栄華を偲ばせます。

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どういう建物でどういう構造だったのかは、正直、さっぱりわかりませんでしたが。

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周辺も、これぞ大東島という感じのいい具合の絶壁感。護岸で釣りをしているおじさんが一人いて、それもまた風情に感じてしまうなどしました。

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さて、宿に一旦戻って、今度は集落の方に再度出発することにします。今回の旅程は、北大東島の年に一度の「お祭り」に合わせて組んだもので、その祭り見物に出向くためです。続きます。


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