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好きな気持ちを分析した

彼女の顔を見て居て思った。「永遠に心を囚われ続けるのか?」自分を愛してくれる誰かを好きになっても、きっと彼女の事は残り続けるだろう。

いっさい、会う事も視界に入る事も無くなって、長い年月を掛けてゆっくり記憶から薄れていけば、いつかは忘れる事が出来るかも知れない。

それには、想像を絶する程の長い時間が必要だ。思い描いただけで、軽い吐き気を感じて気を失いそうになる。彼女の事を全て忘れて、存在そのモノを、なかった事にして新しい人生を生きて行くにはあまりに心の深い所に刻まれてしまった。

私は彼女の事を愛し過ぎてしまったようだ。それはもう手遅れな程に。


彼女が恋人を作り結婚でもすれば、この思いは萎え衰えるかもしれない。これほどまでに彼女を愛して、思いを言葉にして伝えて、出来る範囲で精一杯の事はした。

それでも他の男を選ぶような馬鹿な女なら自分には相応しく無いオツムの弱い女として見限れるような気はしてた。

私のモノにならないなら、ささっと男を作り幸せになって欲しい。そうすれば自分も他の女に行ける。

心だけを囚われ、やや好かれてる今の状態が一番辛い。彼女と結ばれる未来に期待する。そんな夢みたいな世界線を、少しでも少しでも手繰り寄せようと他の女性を遠ざけてしまう。


もしも、他の女性と恋仲になって彼女に隠し通せるのだろうか?あの心の奥を見抜くような眼で心の内を覗かれたら隠し通せる気がしない。

私だって同じだ。相手の嘘を見抜く力は備わってる。「恋人できた?」と尋ねればどんなに彼女が上手に嘘をつこうがその反応で見抜ける。

そう聞かれるのが怖くて、避ける事すら分かるだろう。

いっさい嘘が通じ無い者通しだ。恋に踏み出せない今の状態が一番苦しい。

感の鋭い男と女の恋愛は、結婚を前提とした永久不滅の恋愛しかありえ無い。

色んな女性に種をばら撒く。同時に沢山の愛を抱く男と、唯一至高の愛に生きる女が結ばれるには、他の女に種を撒く必要性を本能レベルで感じ無いほど圧倒的な魅力が有る女性が、男の心の奥底まで全て支配して初めて成立する。

ましてや人類は今までに無いほど寿命が伸びてる。それだけの長い時間、たった1人の相手を思い添い遂げるなど、普通に考えれば不可能な、奇跡のようなものだ。

貧困や戦争なんかで一緒に居ないと生きられ無いような状況なら有り得るかも知れ無いけど、お互いが自立出来る健全な平和的な状態で、たった1人の女性を愛し続ける男なんて生物学的に考えれば遺伝子の何処かにバグが有るのでは無いかと思う程だ。

同じように、女性だって子育てが終われば、別の遺伝子を残したいと欲望が湧くはず。或いはもっと良い生活がしたい、べつの人生を歩んで見たいと思うタイミングが来るだろう。

その時に、それでも旦那を愛せるなら、それは奇跡以外のナニモノでも無い。


母から聞いた話だが、昔は死んだら墓にだけは一緒に入りたく無いと我慢しながら夫婦を続ける家庭が沢山あったそうだ。離婚率が上がり、そもそも結婚しない人の方が多い現代からは考えられない思考だ。

私が抱く、愛する人と生涯一緒に添い遂げたいと思う淡い男心は、今の感覚では遠い昔話の幻想扱いなのだ。

彼女の、まるで幼な子のように無垢な表情を見て思った。彼女は何も考えて無い、恥じらいや慎み深さを教育として学んで来たのだろう。そして自分を男達に魅力的に魅せる為の努力を日々行っている。

だからこそ、実際に人々の視線の前に立った時に何処までも自然体で居られるのだ。

日頃、努力してるからこそ、本番で気張る必要も無い。それが彼女の親しみ易さい柔らかい雰囲気の正体のだと感じた。


逆に言えば、日々の努力や、それらにかかる美容費用は凄まじいものだ。幾ら器が良くても、中身が貪欲な魔女なら、身の回り全ての財産を使い潰し家が傾く程の破滅へ転落するだろう。

彼女を見てると、何も考えてない綺麗になりたいだけの小さな女の子に見えて、どうして自分は彼女を好きになったのだろうか?と疑問に感じた。


見てくれの器に捕われてはならない。どんなに美しい器でも時が経てば、色がはげ落ちヒビが入りもするだろう。見た目の美しさだけで伴侶を決めるような馬鹿な男じゃ無い。

若くて綺麗なだけの女なら遊郭に行けば、夫婦で豪華な食事をするくらいの金額も出せば、幾らでも抱ける。にもかかわらず、この身を削る程の恋心を抱いたのには、きっと彼女に惹かれた特別な理由があるはずだ。


眼を凝らすと、彼女の胸の辺りに金色に光る魂のような灯火が見えた。その光は誰にでもある。彼女の光は他の人と比べて一回り小さく弱々しく見えた。

その光を凝視すると、彼女と初めて出逢った時の事を思い出した。

決して特別な何かがあった訳じゃ無い。でも、その時に私は彼女の力になりたいと思ったし、好きなんだと感じた。

そして彼女の役に立てるような人間になろうと努力した。自分を好きになってもらう為に己を磨いた。

その結果、今の自分がある。あの時の自分とは比べ物にもならないほど、成長した自分が居る。

あの日、あの時に、彼女に出逢った事で導かれた気がした。その思い出が彼女の金色の光の中で無数に蘇った。

気付くと私の心は浄化されたように暖かくなり、嫌な事や疲れが全部無くなったように安らかな気分に浸って居た。

何か理由があって彼女を好きになったと言うよりは、彼女を好きになった事で今の自分が居る。彼女は私を導いた存在だった。

その感謝や存在感が、今でも魅かれ続けて居る大きな要因のように感じた。

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