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「泣きながらご飯を食べたことのある人は、生きていけます」

2017年に放映していたドラマ『カルテット』での松たか子さん演じる巻真紀さんの台詞。奇しくも今日、近所のインドカレー屋さんでケジャンチキンカレーセットを泣きながら食べてきました。おかげで少し涙がひっこんだので、今日何が起きたか?何を考えたか?後から振り返れるように書き残すことにします。

しおん(猫・7才男子)が入院しました。
診断は「ケトアシドーシス」。糖尿病の重篤な状態です。

病気自体の難しいことは省きますが、治療して回復したとしても一生付き合うことになります。祖母が糖尿病で入退院を繰り返したり、毎日自分で血糖値を測ってインスリン注射を打つ姿を目の当たりにしていたことを思い出し怯みました。

異変に気付いたのは一昨日の夜。帰宅するといつもとは違う場所で寝ていました。電子ピアノの下の影になるところ。珍しいな。あれ?起き上がって見上げた目に力がない。でもごはんは食べてる。お水も飲んでいる。急に寒くなったからかな…と思いながら毛布を出して寝るも、朝になってもベッドに来た形跡がない。ごはんをおねだりしない。ごはんを出しても食べない。お水は飲んでいる。初めてのこと。ネットで調べて少し様子を見ることにしたものの、見るたびにぐったりしていく。最寄りの動物病院は休診日。少し遠くの動物病院へ連絡し駆け込んだところ、超音波検査で「胸水がたまっている」とのこと。抜いていただき様子を見ることにして帰宅。翌日(今日)検査することに。

今朝、玄関や洗面所など暗くて寒いところでぐったりしているしおんさん。普段は暴れて難儀するキャリーバックにも大人しく入ってしまう状態。そして検査の結果が前述の「ケトアシドーシス」。治療がとにかく長期に渡ることと治療したとしても治らない可能性があるという説明に、わたしひとりでは無理があると感じてしまいました。この日は一旦対処療法を選択。点滴とインスリン投与で帰宅。インスリンで少しよい反応があればとのことでしたが、よりぐったり感が増して、手足に力が入らず歩くのもおぼつかない。イケメンを(おそらく)自負しているしおんさんからすれば、このような姿を見せたくないのだろうと言わんばかりに見えない場所でうずくまっている。目からどんどん力が失われていく。

先生からの「どのような経緯で飼われてるんですか?」の問いで思い出したのは2014年3月。当時の住まいの近所にあった動物病院の前を通りがかったときに偶然「里親募集」の張り紙を見たことがきっかけでした。「おそらく生後2ヶ月ぐらいでしょう」ということで2014年1月生まれだと認識しています。(詳しくはFacebookをご覧いただければ。運命の出会いでした。)

動物病院に来た時点で「斜頚(しゃけい・首が傾いている)がある」「ここへ来る前に外的要因を受けているかもしれない」「他にも潜在的に何か疾患を抱えている可能性がある」と前置きされた上で引き取ることにしたのでした。なので一般的な猫より長生きしないかもしれないと思っていましたが、一緒に7年以上も過ごしていると、このまま老いていくのを見守ることになるのかなと最近は思っていたので、いざ宣告を受けるとショックでした。

しおんがやってきた2014年はわたしにとっても転換期。会社員とMCのパラレルで奮闘中。プライベート面含めて「ひとりでがんばらなきゃ」のターンへの移行期。うちに来るべくして来るべきタイミングでやってきた猫。

猫と暮らすなら…膝に乗ってほしい・一緒に寝て欲しいという夢をしおんは叶えてくれました。あ、お風呂には一緒に入ってくれません。猫がたまたま人間の言葉を話せないだけで、わたしや周りの話はすべて理解していると思っています。少なくともしおんはそう。家での仕事中は邪魔をしないし、終わった瞬間に「終わったー?おつかれ!」と言わんばかりに寄ってきます。必ず見える場所にいて、何なら体のどこかを触れさせてぬくもりで「ここにいるよ」をアピールしてきたり。わたしの具合が悪ければベッドの傍で心配そうな眼差しで見守ってくれたり。一緒の日向ぼっこで本当に幸せそうな顔をしたり。最後にぬくぬくもふもふしたのはいつだったか…?(書いてて泣きそう)

ベッドで添い寝してくれるしおんさん

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日向ぼっこ大好きしおんさん

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ひざの上に乗りたがるしおんさん

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すべてここ1週間以内の写真です。
ここからあっという間に衰弱してしまいました…

うちでのびのびと幸せそうに過ごしてきた姿を思い出し、元々ここまで生き延びるかわからなかった命が、ひょんな縁あってうちにやってきて、全うしようとしてるのかもしれない、と一旦は思いました。

ただ、うちに連れて帰ってきてからも状態が悪くなる一方。「しおんさん」と呼びかけてもしっぽを振って返事することすらなくなりました。見ていられない。このままだと後悔する…そうだ昨日休診日だった動物病院へ連れて行ってみよう。

待合室に入って、キャリーバッグを少し開けたら顔をひょいっと覗かせたしおん。目にも力がある。どうしたの?しおんさん?

残念ながら診断の結果は同じでした。今度はよりはっきりと「入院治療するか」「看取るか」の選択になると言われました。前者は根気もお金も要るし、治療の過程で死んでしまう可能性もある。後者も自然の摂理なら誤りではないと。もっと昏睡状態になったら安楽死させる選択肢もある。けれど今はまだその時じゃない。まだ引き返せる。一通り話を伺ったあと、看護師さんの方を向いていたしおんが身体ごとわたしの方を向き直って、しっかり目を合わせてきたのです。「ここで治療したい。がんばる」と言っているような気がしました。「治療したいです」と先生にお伝えしました。

病院にお預けする前、しおんと二人だけの時間をつくってくれました。病院の中を歩き回って探検し始めようとするしおん。動き回ってる!

看護師さんにキャリーバッグごと渡すときも顔を覗かせて、がんばる!と言っているような気がしたので、わたしもがんばる!と伝えて帰宅しました。病院では24時間体制で治療にあたってくださるとのこと。自然に頭が下がります。何度もお辞儀をして、お任せしてきました。

思い起こせば今年はとにかく「強くなれ」という事象が多く。素直でいること、相手を信じる自分を信じること、ひとりでいる寂しさと向き合うこと…色んな課題がありました。そして年の瀬を前に極め付けなのがやってきました。でもここまでの色んな出会いや学びのおかげで進化しているので乗り越えられると思いました。何かのために何かを諦めることはやめることにしました。全部叶える人になる。これはそのための試練。

しばらく、いつもあるぬくもりや気配を感じられない日々が続きます。でもしおんさんは必ず戻ってきます。待合室で撮ったこの写真を見てこういう日もあったねと2人で振り返ります(泣きはらしているけど載せます)早朝からごはんをねだられて眠い目をこすりながらごはんを出すその日を目指して、がんばります。

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伝えびと 高木真紀

旅の資金に充てさせていただきます!交通費・宿泊費サポートいただければ現地へ伺って記事を書かせていただきます✈️