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短編小説

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うそのような、ほんとうのような話
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そして彼女はエンターキーを押す

そして彼女はエンターキーを押す

学校に一人くらいはいたのではないだろうか。
一日中、ヒトコトもしゃべらないような
影の薄い子。

彼女は、

チョークの粉が
黒板から落ちていくのを見つめる。

机の上に
空気の影が動くのを見つめる。

するとあっという間に
学校終了のチャイムが鳴った。

学校で起こったことは
ほとんど覚えていないが

チョークの粉が落ちていく間に
彼女は数日分のようにも感じられる
長い長い物語を想像していた。

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