見出し画像

笑う男 第3話(最終話)

自己肯定感、承認欲求、
そんな言葉が持て囃されて久しい。
高いとか低いとか、
強いとか弱いとか、
一体全体誰のものさしで測れば気が済むのか
いつも疑問に思っている。
 

 
かくいう僕も、
自己肯定感には振り回されて
生きているような気がする。
これを低いと自認する時期には、
匂いを嗅ぎ分け、誘惑たちが
しばしば僕に手招きをしてきたものだ。

 

騙すほうより騙されるほうがマシと謳った曲が
僕がまだかわいいかわいい幼児期だったころに
流行ったらしいけれど
騙されるほうがマシだけど、騙されたくはない。

 

敵味方、という表現も好ましくはない。
できれば、敵、という存在はつくらないように
いつだって細心の注意を払っている。

 

そうすることで、
結果的に味方と呼べるひともので溢れた
今の僕の生きる世界。
誰に会っても、誰といても、
秘密やこころの鍵をもたずとも、
話の弾むひとたちがいる。
この世界を大切にしていくために、
今日も僕は笑っている。

 

最後に笑うため、最初から笑うのだ。

 

僕なりの酸いも甘いも、
とりわけ20代には詰め込まれていた。
自分を大きく見せようとしたり
はたまた過小評価をしたり
なにかがブレると、音を立てて崩れる。
それは
心身のバランスだったり
仕事の成果だったり体重の増減だったり、
決していいこと、
自慢できることばかりではないのが
人生ってやつだと思う。

 

それでも僕は、笑っている。
そうすると、ひとり、またひとりと
新たな出会いやつながりができ、
誰かとつながりを感じることで、
生きていると実感するレベルは上がっていく。

 

戻りたくない過去はあれど
僕は僕のことを嫌いにはならない。
いままでもこれからも、
僕はよく頑張って生きているほうだと思う。
そう思わせてくれる僕に感謝をしたい。
これからもよろしく、僕。

 

人生はつづく


BGM
笑えれば/ウルフルズ

笑う男
ご愛読ありがとうございました。
取材にご協力いただいた青年に感謝を込めて。

あなたの人生、物語にします。 ときに憑依して執筆しております。 あなたからのサポートが励みになります。 感謝!