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トゥバ

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南シベリアに位置するロシア連邦トゥバ共和国。 独特な喉歌ホーメイのふるさとである。 そんなお話が満載。
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ホーメイが運ぶ風

ホーメイが運ぶ風

時には天使の口笛のように、
時には母ラクダの嘆きのように、
カイガルオールのホーメイは響く。
その超絶的な声帯の技術はもちろん、
どこか懐かしいメロディーは、
幾層もの倍音の風を運んでくる。
そこは南シベリアに位置するトゥバ共和国
スキタイの黄金の埋葬地であり
サヤン山脈と無数の湖からなる
アジアの中心という未踏の地であった。
彼らはホーメイを携えた文化大使である。
羊の群れに、馬のいななき、タイ

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タイガに響く伝説の喉歌

タイガに響く伝説の喉歌

 ジャズクラブ新宿ピットインの楽屋で、サックス奏者の坂田明さんに、「おまえみたいな奴はやるといいよ」と乗せられて、ホーミーの練習にかかったのは、1993年頃だったか。坂田さんがモンゴルに行き、そこでミジンコやモンゴルの歌や、ホーミーの名人に会うテレビ番組が放送されたのを見て、坂田さんに教えてもらおうと、出向いたのである。

「いいか、これがホーミーだ。よく聞けよ」

坂田さんは舌をほよほよほよと動

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奇岩の山の頂上にて

奇岩の山の頂上にて

 ウラジオストクから5時間のフライトでアバカンに到着。出口には、ホーメイ歌手のセルゲイ・オンダールが偶然いて握手。彼は4年ほど前からアバカンに住んでいる。誰かを待っていたのだろうか。預けた荷物を受け取ると、オトクン(今回の企画者)が登場。13人乗りのバスに乗り、180キロトゥバへの道を行きエルガキ自然公園のキャビンに到着。なぜかセルゲイも手ぶらで同乗して来た。

「こんにちは」

流暢な日本語で迎

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