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71.ラビリンスドアを覚えてる?

 熱海の人口の白い砂浜サンビーチに突如現れたルネ・マグリット風の青空が描かれたドア。さて、今年も設置しようと目論んでいる。
 ご存知コロナ禍の中、これほどまでにパフォーマンス界隈の規制が強く、そして長く続くと、人々の心も怖じ気づいて、出かけて何かを観ようという気概が失せている。ミュージシャンたちの中にも「今年はずっと家にいる」という選択をしている者もいる。
 だけどそんな不甲斐ないことでいいのだろうか。
 そう思い、いつものようにはいかないけれど、なんとか生のパフォーマンスをやりつづけている。13年目のJAZZ ART せんがわも無事開催した。そして、10月は熱海である。ラビリンスドアである。レトロ未来である。熱海未来音楽祭もやってやろうじゃないの。ということで諦めかけていたプログラムを作り直した。
 当初は、一昨年湯河原で演奏したトランペッターのピーター・エヴァンスを呼ぶ計画だった。それからトゥバ共和国からイーガリ・コシケンディも呼ぼうと思っていた。しかし、現在国外から来れたとしても、アーティストビザを取ることが困難であるようだ。
 そこで、はたと思いついたのは、リモートである。コロナ禍でもっとも進んだのが、リモートワークである。ポルトガルのリスボンに住んでいるピーターに同じ時間にリモートで交信し、演奏してもらうのはどうだろうか。その演奏を聴きながら、実際の熱海の会場で、笙や筝が演奏する。メールでピーターに打診したら、演奏ファイルを送ることもできるし、ライブでもできるだろうとの答えをもらった。
 1996年のまだ通信状況がさしてよくない頃、大垣のIAMASを舞台にISDNコンサートをした。フランスのナンシー、オーストラリアのシドニーを結んで、カルコフスキー、坂出雅海、アタウ・タナカ、赤松正行とともに。
 それぞれの会場は、ライブという無謀なもので、全然うまくいかなかったが、大きな興奮があった。そんな経験もあるので、うまくいくいかないより、企画することの価値を優先しようと思う。
 昨年、熱海の商店街を巻き込んだパレードは、今年は熱海銀座からサンビーチにかけて行い、ビーチでは、『海辺の兎に角』というタイトルで、町田康にテキストをお願いして、パフォーマンスをしようと思う。またダンスと音楽で、町中を移動する独自のフェスを展開するLAND FES を誘致し、同時開催にした。
こちらは配信のみのプログラムになる。
 いずれにしろ、多くの人の心とからだを少しでも揺り動かせたらと思う。

巻上公一

コロナの受難の中から生まれる
郷愁のエンターテイメント
熱海からリスボンまでの距離を越え
夕凪は江州音頭にホーメイ
はたまたクレズマーからチンドンまで
国境を越え皮膚を越え耳を越えて
世界音楽の大きな繋がりを希求する
魅惑のフェイスシールドで
ウイルスも吹き飛ぶフェスティバル!


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