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近くて遠い - 1/72 : 暦の時間 2021 -

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七十二候を綴ります
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記事一覧

【処暑】綿柎開 (わたのはなしべひらく)

まだ夏の入り口に立つ前のやわらかなあの日から、しぶとく居座る残暑のこの頃へ。 時というの…

【立秋】蒙霧升降 (ふかききりまとう)

ワクチンを打ってきた。 それは自分でも意外なことだった。当初私は「しばらく様子をみてから…

【立秋】寒蝉鳴(ひぐらしなく)

季節の変わり目の雨が降る。「この時期に前線の停滞っておかしいよね?」と、友だちの投稿に見…

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2年前
396

【立秋】 涼風至 (すずかぜいたる)

「役に立つ」という言葉がある。誰かの役に立つこと。貢献すること。 人と人がこころを通わせ…

【大暑】 大雨時行 (たいう ときどきに ふる)

「泣いちゃいけない」とぎゅっと握りしめた掌を、そっと、緩めてあげる。 (たったそれだけで…

【大暑】 土潤溽暑(つちうるおうてむしあつし)

蝉というのはおもしろい生きものだ。地面にいるのをよく見かける。生きているのか死んでいるのか、パッとみただけではよくわからない。突然とびかかってくるやもしれないので、その生命力に恐れ慄きつつその場を通り過ぎねばならない。ああ、そのえもいわれぬ存在感よ。 雨の降らない時期に幾日か家をあけたので、ホーリーバジルの種をうまく発芽させることができなかった。実家に預けたそれは無事に元気に育っていると、写真を送ってもらって知る。 浄化作用の高いと言われるその植物の朝摘みを体験したことが

【大暑】桐始結花 (きりはじめてはなをむすぶ)

桐の花......4月の終わりに上賀茂神社で見かけたよなあ...と思いながら、京都を恋しく思う夏。…

【小暑】 鷹乃学習 (たかすなわちわざをなす)

御池通が好きだ。東山と嵐山の両方の緑に包まれた、風の通り抜ける空間。それから、御所を感じ…

【小暑】 蓮始開 (はすはじめてひらく)

旧友と出会い「昔とちっとも変わらない」と思わず声にする。あの頃のままだね。若いね。ずっと…

【小暑】 温風至 (あつかぜいたる)

いつの間にか雨の通り過ぎた京都のまちを歩く。駅の南のあたり。とある片隅には蔦で覆われた森…

【夏至】 半夏生 (はんげしょうず)

水辺を求めて歩く。それから、闇と。 光の繊細な佇まいを、近くに感じていたくて。

【夏至】 菖蒲華 (あやめはなさく)

昨晩から雨が続いて重たい朝です。じっとりとした。 そんな言葉で「チェックイン」した、今朝…

【夏至】 乃東枯 (なつかれくさかるる)

枇杷が大好きな私は、この時期、鳥になれたらと思う。 人の手の届かないところにある小さな実を、好きなだけついばむ。そしてご機嫌に、一層高らかに歌うのだ。ついでに幾つかを地上に落としてあげてもいいよ。枇杷好きの子が拾って食べられるように、甘いところを選んであげる。 枇杷の実ころがるあの坂道を通るたびに、くすぐる想像。 その想像の中に誰が暮らしているかってこと、あとになってから思い出すことにする。 2021年、夏の日。