くろば🍀*゜

槇原敬之さんからインスパイアされた世界観を小説にしてみました🍀物書き初挑戦📖 オムニバ…

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槇原敬之さんからインスパイアされた世界観を小説にしてみました🍀物書き初挑戦📖 オムニバス形式の短編小説の予定です。 マッキーファンの皆さんにぜひ読んでもらいコメントいただけたら嬉しいです💞

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  • 槇原敬之の世界を短編小説に

    槇原敬之さんが大好き過ぎて、歌の世界観を短編小説にしてみました。曲タイトルが短編タイトルになっています🍀*゜

最近の記事

# 花水木

 国道沿いの海岸通り。夏になれば海水浴客が溢れるその場所に、特に季節は関係なく佇んでいる小さなcafeがある。営んでいるのは長身の髭面の店主。その飼い猫は窓辺でいつも眠っているようだ。窓から西へ東へと忙しなく流れる車を引っ切り無しに見送りながらもその空間だけは時が止まったような錯覚さえ思える。駐車場は2台しかないが、常に店主の車が幅をきかせているため、1台分しかない。遠方からの来店客には少しばかり不親切な造りとなっているのは言うまでもない。ただ、主な常連客は近所の老夫婦や、こ

    • # 僕の彼女はウェイトレス

      例えば、パートナーの些細な変化について、一体この世の中の何パーセントくらいの人間が敏感に感じ取れるものなのだろう?どこかの有名な心理学者が言っていたが、その変化は男性に比べると、女性の方が気付く確率が高いそうだ。 私は、生物学的には「女性」に分類されるのだが、本当に昔からそういうことには疎い。でも決して相手に対して興味が無いわけではない。 本当に分からないのである。 学生時代からの恋愛遍歴を振り返っても、相手の方がより私の些細な変化に気付くことが多かった。むしろ、

      • #素直

        陽射しがキラキラと水面を揺らしながら、その照り返しでさらにここのところ気温の上昇が激しい。この街では、冬にはそれなりに雪が降り、夏にはそれなりに気温が上がる。ただ、俺はそれでも関東ほどではないだろうと高を括っていた。 この春に、半年間のスーパーバイザーという大義名分の元、本社からの長期出張命令が出された俺はこの街にやってきた。もう4ヶ月が経とうとしている。 先週、定期報告も兼ねて本社へ1週間ほど戻り、今日またこちらへ帰ってきたが、1週間前に比べ明らかに気温の上昇を肌で

        • #明けない夜が来ることはない

           10代の頃は、自分がどんな大人になっているかなんてそんなに深く考えたことはなかった。 世間的には割と名の知れた大学に進学したものの、特にやりたいこともないまま漫然と過ごす4年間。友人はそれなりにいて、恋人がいた時期もあったが何となくめんどくさくなっていつの間にか離れて行ってしまう… の繰り返しだった。就職も周囲の焦りをよそにあっさり決まった。はたから見ればエリートコースを走っているように見えるかもしれないが、実のところは「ただ何も考えておらず自分の意志がない奴」と言

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        • 槇原敬之の世界を短編小説に
          6本

        記事

          #北風

          海から流れてくる汐風は地元のいわゆる浜風とは違う印象を与える。夏は比較的穏やかだったその風が針のように顔面を突き刺す季節となってきたようだ。 この街に来てからすでに8ヵ月が経過していることに気付く。大学までのあまり遠くない道を国道沿いに真っ直ぐ進む。思えば1年前の今頃は受験勉強に必死で、こういう季節の変化には疎かった。というか、それまでも季節の変化に対してそこまで気にしたことはなかった人生を俺は送ってきた。 「おはよう。今日は早いじゃないの。朝から講義?」 長身のヒ

          プロローグ

          「ねぇねぇおじさん、カモメとウミネコの違いって知ってる?」 ここは海の見える国道沿いの小さなCafe。毎年夏には賑わう割りと名の知れた海水浴場が近くにある。季節外れの海の家のような佇まいでその小さなCafeは年中無休である。 ただ国道沿いで、大型トラックの通りも激しいがこのCafeにはあいにく駐車場が2台しかない。しかも駐車場には店主の車がいつも幅をきかせているため、この店の店主は本気で集客する気があるのか?と、近所の専らの噂である。 そのCafeの名前は『SALON

          プロローグ