目の前にやたら姿勢のよい女性がいた。

80歳は超えていると思われるその女性はふんぞり返るように歩いていたが、突然、街路樹に手を添え、立ち止まった。

細い都会の木から力をもらっているのだろうか。

しかし、再び歩きだすと、腰がひどく曲がっている。

数歩歩くと突然老女は姿勢を正した。
ググっと腰に力を入れ、驚くような姿勢のよさで歩き出し、今度はトラックを見てにっこりとほほ笑み、頷きながら通り過ぎた。

知り合いでもいたのだろうかと思い、自分もトラックを通り過ぎると、荷台にたくさんの門松が並べてあった。オフィスに門松配送中。

もうすぐ新年だ。

老女はまた歩き出し、すぐに曲がる腰と格闘しているようだった。

一歩一歩歩道橋をのぼると、だんだんと顔が地面に近づいていく。
そして、ぐいんと背筋を正す。

後ろに転がってしまわないかというくらい反り返り、また、歩き出し、そしてまた曲がる…、力をこめる。

大丈夫だろうか。ちゃんと目的地まで行けるだろうか。

追い越さないよう、かなりゆっくり後ろから歩道橋を上りきると、彼女は、ビュンビュン走る車を気持ちよさそうに眺め、一息ついていた。

私の12月は酷かった。なかなか思うようにはいかなかった。
重い案件も重なり、心身ともに疲弊していた。
長い長い風邪もひいた。

彼女とは反対方向の階段を、手すりを支えにフラフラと降りながら、私は彼女の言葉を想像していた。

うまくいかなくても、何度もやるしかないでしょ。
自然は近くにもありますよ。
たまには周りを見なさいよ。
遠くを見ると気持ちいいでしょ。

時々、街中に神様がいる。いろんな形で出現する。

どうしたらいいですか。
ちょっと自分でもう答えが出てこないんですけど…

問いかけているとふと出会う。

ありがとうございます。うまくいかないこともたくさんあるけれど、諦めずに、姿勢を正しながら、やり続けようと思います。

2024年もどうぞよろしくお願い致します。

【今日のしつもん】
・2023年のあなたのがんばりをずっと見てくれている人がいるとしたら、どのように声をかけてくれると思いますか。
・あなたの周りのがんばっている人に、どんな声かけをしたいですか。