弁護士岡部真記

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弁護士岡部真記

オリンピア法律事務所/愛知県弁護士会所属 ちいさな会社、NPOを応援しています。弁護士になって16年。 noteを書くのは、書くことがシンプルに好きだから+私という人を知ってからご依頼頂きたいと思っているからです。 気の合うお客様とのお仕事は2倍くらい成果が出ます(肌感覚)。

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  • 毒にも薬にもならないシリーズ

    日々の生活の中で、心動かされたこと、感じたことをまとめます。

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    勉強方法の勉強が好き。勉強の方法、学びについて書いた記事をまとめます。

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一番よくきかれる苦手だった質問

一番よく聞かれる質問は… 「なぜ弁護士になったんですか」 です。 これは難しい…。 この質問がずっと苦手で、いつもかなり長い説明をしていました。 最近は、だいたいこのように答えるようになりました。 「役に立つ人(できれば圧倒的に)」になりたいと思ったからです。 中学二年生のとき、阪神大震災に遭いました。 強烈に「役に立ちたい」と願い、「被災者」だけど、ボランティアもしました。 何が自分にできるのか、毎日毎日考えていました。 でも役に立たなかった。 逆に邪魔だと

    • 『冒険』できる会社ですか?

      久々に雨雲から解放されて、急に真夏のようになった5月。自転車で官庁街をかっ飛ばしながら、熱風の中にいた学生時代のタイ旅行を思い出していた。 はじめての「一人旅」で、緊張しすぎ、過呼吸になりそうになった飛行機の中。 「冒険が始まる」はずの一人旅だったが、…9割は一人ではなかった。 タイ人の友人らやその家族が、ほとんどすべての日程にアテンドしてくれたからだ。 アユタヤに行きたいというと車を出してくれ、タイ式マッサージを受けてみたいというと有名らしい寺院に連れて行ってくれた。

      • 大人の社会見学:2.5次元歌い手グループ【いれいす】武道館ライブビューイング

        社会見学に行ってきた〇〇億円の取引について検討した1時間後に、イカのゲソの天ぷら398円を万引きしたおじいさんのためにスーパーに謝罪に行く。 それが弁護士の仕事である。 弁護士の仕事は幅広い。 分野を絞る方が「売れる」とよく言われるが、この幅こそが魅力的でもあると思う。 いろんな人に出会うので、自分の人生が、自分一人分以上の濃さがあるような感覚になることもある。弁護士になって16年以上経つと、引き出しも増えてきた。 けれど、まだ会ったことのない、見たことのない世界がある

        • 12月の神様

          目の前にやたら姿勢のよい女性がいた。 80歳は超えていると思われるその女性はふんぞり返るように歩いていたが、突然、街路樹に手を添え、立ち止まった。 細い都会の木から力をもらっているのだろうか。 しかし、再び歩きだすと、腰がひどく曲がっている。 数歩歩くと突然老女は姿勢を正した。 ググっと腰に力を入れ、驚くような姿勢のよさで歩き出し、今度はトラックを見てにっこりとほほ笑み、頷きながら通り過ぎた。 知り合いでもいたのだろうかと思い、自分もトラックを通り過ぎると、荷台にた

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        一番よくきかれる苦手だった質問

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          プロフェッショナル

          上品なクラッシック音楽が流れるホテルの朝食会場で、「キャッ」という短い悲鳴が聞こえた。 一斉にガタガタと椅子から立ち上がった家族の視線の先に、緑色にきらりと光るヤツがいた。 5センチは優に超える大きさの、仮面ライダーによく似た緑色のソレは、どこから入ってきたのか、堂々としている。 朝日が差し込む窓側のテーブルの下で、「みんなオレを見ろよ」と言っているようだった。 皆が遠巻きに見ていたが、誰も捕まえる様子はない。 これからバッタが飛び回る朝食会場になるのだろうか…、と

          プロフェッショナル

          ひっつきむしとクラスメイト

          おでこにもほっぺにも、Tシャツにも、さらにはカバンにも「くっつきむし(オナモミじゃなくてツヅジの葉っぱだったらしい)」をくっつけて、爆笑している学校帰りの彼(小学一年生)の写真を見ながら、ひとりでニヤニヤしている。 子ども用の車いすに座っている彼は、重度の障害がある。 表情は豊かだけれど、話はできない。食事はペーストにしなければならず、自分一人では移動できない。 そんな彼は、今年一年生。 お姉ちゃんと一緒に地域の小学校に通っている。 私は弁護士として、彼が、地域の小学

          ひっつきむしとクラスメイト

          座禅

          突然雨が降り出し、小走りでお寺の中に入った。 あたりが急に暗くなり、雷の音が鳴り響く。 お寺の中にはたくさんのお坊さんがいる。こんなにたくさんのお坊さんと一度に対面することは初めてで、それだけで、『日本昔話』の世界に紛れ込んだような不思議な気分である。 【やさしい座禅体験会】と名付けられたその会は、若いお坊さんたちが企画しているイベントらしい。座禅の前に法話があり、定員オーバーの老若男女が熱心に法話に耳を傾けていた。雷がズドンと落ちる度に騒ぎそうな子たちも、みな静かだった

          白いジャケット

          白いジャケットを着た彼女は、司会者が「では、質問のある方は‥」と会場を見渡そうとしたとき、直ぐに「はい」と手を挙げた。 全員がダーク系の就活スーツだった。その中でただ一人、白いジャケットにワンピース。 目立っていた。 私は、就活セミナーの運営をするイベント会社でアルバイトをしており、その時、会場でマイクをもって走る担当だった。 どこかの企業の社長の講演は面白く、「なるほど」、「ふーむ」と思いながら聞いていたが、特に質問も浮かばない中、颯爽と手を挙げて、的を射た質問

          白いジャケット

          深呼吸

          頂いた京線香を焚いて、朝の時間を過ごすようになった。 呼吸がしやすい。 夜に焚くと、よく眠れる。 そんな香りのするものと一緒ではダメでしょう、と怒られそうだけど、コーヒーを飲んだり、自由に過ごしている。チョコも食べる(私はプロフィールに書くくらいチョコレートが好きです)。 お作法も色々あるのだろうけれど、本当に大切なのは、<生活の中にある>ということだと勝手に思っている。 私は東京の寿司詰め密閉状態の通勤ラッシュの電車に閉じ込められてから(そんなに長時間でもなかっ

          ブランコおじさん

          中国に住んでいたときのことである。 私の住んでいたマンションから、遊具のある広場が見えた。 その広場は、ビルのオフィス棟につながっていて、お昼にはたまに誰かがテイクアウトを食べている、そんな場所だった。 ちょっと暑くなりはじめたある平日の朝10時頃、オフィス棟から、短パンに白いシャツのカジュアルな服装のおじさんが現れた。 誰もいない広場で、そのおじさんは真っすぐブランコを目指し、座った。そしてかなり高くまでブランコを漕ぎながら、携帯電話をかけはじめた(声は聞こえない)。

          ブランコおじさん

          あなごのしっぽ

          事務所の外で打ち合わせをして、回転寿司で一人、少し遅めのランチを食べることにした。見た目は回転寿司だけど、お寿司は回っておらず(コロナからかな)、値段もちょっと高級である。昼はランチセットがあった。 やっぱりお寿司は美味しいなぁと、エイヤと頼んだ上から2番目にお高いランチセットを食べていると、近くの席に70代後半から80代の、上品な雰囲気のマダム2人が座った。 マダムのうち一人が席につくなり、中で寿司を握る職人に言う。 「私ね、アナゴの尻尾が食べたいのよ」 職人は明ら

          あなごのしっぽ

          アリさんの声

          静かな静かな平日午後の図書館。 タッタッタッタと小さな走る音が迫ってきて、「キャキャキャッ」と甲高い声がした後、<ゲゲゲの鬼太郎>のテーマソングは始まった。 2歳くらいと思われる彼女は、「大人たちよ!人生はかくも楽しく喜びに満ち溢れているではないか!!!」という感じで周囲を見渡し… 「じぇっ、じぇっ、じぇじぇじぇのじぇ~♪ふんふーふふふふふ ふんふんふ~ん♪」 「じぇっ、じぇっ、じぇじぇじぇのじぇ~♪ふんふふんふふ~ん…♪」(ループ) と歌い出した。 ゲゲゲの鬼太

          カラスが頭にとまった話

          私が『頭にカラスがとまったことがある』と話すと、大抵の人がとても驚いてくれる。 私が笑いながら話すので、「この人、喜んでるのか?やっぱり弁護士ってちょっとくらい変わってるくらいじゃないとできないんだろうな(憐)」とか心の中で思われていると思う。 カラスが私の頭を踏み台に?飛び立ったのは25歳くらいの頃のことだ。 私はベージュのチノパンに迷彩柄でよく使われる色合いの、だけど迷彩柄ではない(迷彩柄はきらい)、カジュアルなシャツを着ていた。迷彩柄は森の中で隠れるために開発された

          カラスが頭にとまった話

          じゃんけんしてる?

          とてもとても暑い日、小脇にバインダーを挟みつつ、作業道具と思われる大きな荷物を抱えた作業着姿の男女が前から歩いてきた。二人とも30代前半という感じ。 もうすぐ訪問先に到着するのか、突然2人は立ち止まった。 そして…、真剣な、じゃんけん3回勝負が始まった。 女性が負け、「仕方ないか~」という表情。男性は小さくガッツポーズ。 大人がじゃんけんをするところをあまり見ない。 子どものころは、なんでもじゃんけんで決めていたのに。 何をかけた勝負だったんだろう。 昼ごはんかな(

          じゃんけんしてる?

          蜘蛛のキーホルダー

          リクルートスーツのような、地味な黒スーツに白いシャツの若い女性が目の前を横切ったとき、彼女の持つ黒い鞄の端っこに揺れる、超リアルな蜘蛛の形のキーホルダーが目に入った。 それから目が離せなくなり、私の妄想が止まらなくなった。 彼女はパンクなバンドでギターかベースを弾いているに違いない(妄想が単純)。 面接だからやむなくこんな格好をせざるを得ず、面接官に向かってにっこり微笑みながら「そうです、そうです」とか言い、頷いたりしているが、心の中で「その質問、意味ある?」とちょっと

          蜘蛛のキーホルダー

          たかが診察券、されど診察券

          私は診察券がキライである。 大病院の診察券はギリギリ持っている。 その他の診察券はごめんなさい。 病院は思い立った時、その時間で行ける病院に行くので、まず診察券を持ち歩いていないし、名前と生年月日を言えば何とかなるので、大切に保管しようという気持ちがまずない(すみません)。 だから毎回、「診察券は…」と聞かれるのがとてもイヤ。 最近は再発行が必要で、500円の手数料が必要ですと言われ、もうその病院には行くまいと決心したほどである。 そんな私の「かかりつけ」におどり出た(

          たかが診察券、されど診察券