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SNS時代と中学生


晴れて末っ子も入学。我が家は中学生が2人状態で、なんだか黒い物体(学ラン)が家の中をモサモサと動いている。

そしてこの数ヶ月、各家庭の親たちを悩ませ続けていたのが「携帯電話持たせるか問題」である。
正直言って、中学生に持たせるには早いツールだと思う。
しかし、ここ神奈川は全国でもトップクラスに高い携帯電話の普及率。ざっと見ても中学生の9割近く、いやそれ以上が持っているのが実感だ。
サッカー部内の連絡もLINEでくるというからタチが悪い。「今日、朝練は雨で中止」「明日、10時に集合」なんていう大事な情報がポーンと入ってくるのだ。もう、LINE前提で生活が動いている。

携帯持たせるならウチはガラケーで行きたいな!……と思ってヨドバシカメラに行ったところ、なんと敵は「ガラケーもiPhoneも値段が変わらないよ作戦」で来よった。そして多くのガラケーは老人用。機能もかなり縮小している。
結局LINEは必要だし……値段が一緒なら仕方がないのか……とブツブツ言いいながら、中古の安いiPhoneを買ってそれに格安キャリアのSIMカードを入れて子どもに与えた。

だけど案の定、子どもはきちんと使いこなせないのである。
いろいろと息子たちと携帯の使用について約束を交わしたのにも関わらず、隠れてトイレでスマホゲームをやっていたり、使ってはいけない時間帯に布団の中でこっそり使ったりと、それ見たことかと約束を破りまくる。

なので現在は、なんと釘で2台のiPhoneを壁の高いところに旦那さんが打ち付けた。子供たちは踏み台に乗って頑張って画面を見ることになっている。スピーカー機能にすれば会話もできる。
もはや壁掛け電話であって、我が家のそれは「携帯」電話ではない。
iPhoneを触っていい時間帯にだけ「右手が疲れた〜」と言いながらスワイプしている。

だいたい無理だよね。私だって、気がついたらネットサーフィンしちゃうんだもの。自分のネット環境を断ち切るのだって相当な苦労なんだから、子どもにできると思うほうが甘い。


朝、昨日の息子のLINEの着信数は『1059件』。その倍近い数字を叩き出したこともある。これ、一晩でですよ?

新学期。新しい友だちに、新しい携帯。家に帰っても友だちと喋り続けられるのだ。嬉しくて仕方がないのだろう。
「おやすみ」「おやすみ」「おやすみ」「もう寝た?」「まだ」「まだ」「もう寝る」「うそ」「ほんと」「うそ」「ばか」「明日の持ち物なんだっけ?」「お風呂はいろ」
と、しょーもない会話をクラス中のみんなで打ち合っているのだから、そりゃ1000とか2000とか行くわな。
LINEでしりとりをしたり、みんなが自分の身長を発表していたり、同じスタンプを何十個と連打する「スタ連」をする子どもも多く、着信音があまりにうるさいので音声はすべて消した。ますます携帯電話の意義が薄れていく。

4、5年前は、ここまで普及はしていなかった。当時は、高校入学と同時に買ってもらう子どもも多かった。
しかし、ここ数年でフィルタリング機能が格段に良くなったので、普及がぐっと進んだらしい。そして学校の道徳の時間には、docomoだとかauだとかのキャリアの人が代わる代わる来て、しょっちゅう子どものためのマナー講座を開いている。親専用の講座も保護者会と抱き合わせで半強制的に受けさせられている。各キャリアは、そこまでして普及させたいらしい。そして同時に、そんな企業の進出を学校も受け入れざるを得ないほど、LINEなどのいじめも進んでいるのだ。
とりあえず親は必ず、子どものLINEのチェックをするように学校から言われている。でもそれってさぁ、将来、嫁とか彼女の携帯電話をチェックする男にならないかなぁと心配になる。
しかし「勉強に集中できるクスリ」なんて、携帯電話を通して出回ったこともあるとマナー教室で言われれば、見るよ。見ますとも。でも1000件って!! 見られるか! 壁に貼ってあって腕が疲れるし!

それに親がいじめをチェックしても、最近はメッセージの取り消し機能が付いているから、LINE上で喧嘩して「死ね」って書いた場合、相手の既読が付いた瞬間にすぐ取り消すという案件が増えている。いじめの証拠が残りにくいのだ。なんでそんな機能を付けたのよ。
「ひどいこと書かれたら、固まっていないで、すぐに写メを撮るようにね」と、子どもには言っているけれども、自分だって傷つくことを書かれたら、その場で凍るだろうからどれだけ現場を押さえられるかはわからない。

だから子どもにはまだ、早いツールだと言っているのだ。
大人たちよ。自分の利益優先で無責任に売り込まないでほしいよ。
いらない。携帯。本当に……。


話は変わるけれど先日、LINE上のグループの何人かと会話している最中に、「実は私……」と、哀しいお知らせを切り出してきた人がいた。

対面して、つまり実際に会って喋っているときに、哀しいお知らせがもたらされた場合。若いときは「何か慰めの言葉をかけなきゃ」って必死で返して、それが空々しく響き、なんだか墓穴を掘ったことが何度となくある。
何も言葉が出ない、そんなときはあえて余計なことは言わず、ただただ肩を叩いたり、寄り添うことで慰められることを学んだのだった。

しかしこのSNS時代。
メールやラインでお知らせが来たときは、黙っていては既読スルー。無視と一緒だ。この場合は、せっかく告白した相手の勇気を受け止めて言葉で返すことが必要なんだな! 
しかも対面できないから言葉だけって、相当の技術がいるよね。誤解されないように、傷ついている人を慰めるのって、かなりの高等テク。

しかも今回ちょっと焦ったのは、それまで雄弁に語りあっていたLINE上のほとんどの皆さんが無反応になったこと。
言葉を操る仕事の責任感かわからないが、必死で私、慰めの言葉を綴ってしまったよね。傷ついてネガティブになっている相手に、真意がまっすぐ伝わるといいのだけれど。伝わったかどうかも、画面を眺めているだけではわからない。
便利で不便。この世はプラマイゼロだ。

現に私も哀しいお知らせをLINEでして、無言で返され、肩透かしをくらったこともある。まぁ、いいんですけどね。
ヘタなこと言って変な空気を作りたくない気持ちもわかる。
でも「そうなんだ。大変だったね…」だけでもいいじゃないかな、とも思う。

この時代、また違った対応力が問われるのだなぁ。
息子たちよ。この待った無しのSNSの荒波の中で、まずはスキルをつけてくれ。



ここまで読んでくれただけで、うれしいです! ありがとうございました❤️