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頭髪をめぐる冒険 2


そう。石鹸作りにはまり、マルセイユ石鹸で洗髪すること10年。
そのほかには、微量のオイルなどを髪につけたり、乾燥が激しいときは、洗髪直後に黒蜜か蜂蜜を塗ってしばらく放置。そしてそれを洗い流すだけ。
それだけで「何のトリートメントしてる?」と美容師さんに問われるほど良好だったのだ。


しかしその石鹸洗髪との蜜月も……老いとともに、お別れの時がやってきたのだった(食器洗いや、他の家族は今も石鹸だが)。

40代に入って白髪と戦いはじめた私。
もともと父親譲りの若白髪。2週に1回、せっせと市販のヘアカラーで染めているうちに、次第に地肌にブツブツができて痒くなり始めたのだった。
だってそもそも根元の白髪を染めたいっていうのに、危険だから頭皮には薬物を触れさすなという矛盾。根元ギリギリまで攻めたいのに、どうしてくれる。どう頑張っても、やっぱり肌に触っちゃうよね。

どれくらいのものだかは議論が分かれるが、「経皮毒」という言葉もある。要するに皮膚から化学物質を体の中に蓄積してしまう説。それも怖かった。
せっかく石鹸で、刺激少なめに生きているのに、どうしてめちゃくちゃケミカルなヘアカラーをしょっちゅう頭に乗せなければならないのか。

旦那さんがニコチンパッチを肌に貼ったとき、肌から吸収されるそのニコチンの威力に驚いた。私が捻挫をしたときに整形外科でもらったモーラステープも、昔ながらの普通の湿布だと思ったら、なんと鎮痛剤入り。激痛が即効引いたのには驚いた。
肌からもぐんぐん吸うんだな、薬剤、と思ったのだ。
とりわけ肛門や膣が一番吸収し、次いで頭皮、足の裏、その他皮膚の順で吸収率が高いらしい。ああ、そうね。座薬ってのもあるしね……。
頭、結構吸うじゃん、 と不安になったのだ。


そこでだ。市販のヘアカラーを捨て、「ヘナ」と「インディゴ」に手を出すことを決断。要するに草木染め。……草木染め!?
そうなんですよ。インディゴ(藍)に至っては、デニムですよデニム。私の頭の上の頭髪も、腰から下のジーパンも、同じ染料。なんだかな。結果、染まればいいのか、そんな雑な感じでいいのか。なんと紀元前3000年ごろのエジプトでもなされていたという、いにしえの技法……。
ヘナだけだと赤く染まるので、インディゴをかけ合わせると、綺麗な黒や茶色になるのだ。これが……見事に染まるのですよネ。(ちょっと、市販のヘアカラーよりは面倒。あとロングヘアーの人は、染めて数日は、ほんの少しインディゴが落ちるから、白い服は着れないとかの制限がある)

剣道を長らくやっていた旦那さんは、ヘナの草の匂い(畳っぽい)と、インディゴの藍の匂い(剣道の袴が藍染)で、私が染めた直後は、道場にいるようで落ち着かないと言われる。



そして、もっとさらに怪しい道を歩んでいく、私。
ヘナと同じ会社が出している「ハーブシャンプー」というのにも手を染める。
ハーブ配合のシャンプーじゃないのだ。ハーブそのものなのだ。
ハーブティーで洗っているのではないのだ。ハーブそのものなのだ。
なんというか、粉ですよ。草の粉末。それをお湯と混ぜて、頭にかけるのだ。そして洗い流す。それだけ。
いや、もう、ついてこなくていいですよ。みなさん。こんなになってしまった、私ですから。真似しなくっていいんです。

ハーブシャンプーは、「シカカイ」とかいうインドの謎の実の粉末を、100均のドレッシングシェーカーに入れてお湯と混ぜる。そこには、いくつかのインドハーブもプラス。ヘナも入っている。
そもそもインドの人は、白髪ではなくてもヘナを頭に塗る。それは、ものすごいトリートメント効果があるからだ。

もう超、サラッサラ! インドすごい!
自転車に乗っていて気がついた。顔にかかる髪が、さらさらとパンテーンのコマーシャルのお姉さんのよう!
うねったり、かさついたり、数本意味もなく飛び出ている、中年のアレじゃないんですよ!

そしてですね。
この葉っぱや木の実で頭をケアするようになってから、気がついたことが一つ。
シャンプー時代は、毎日か1日おきに髪を洗わなければならなかった。風邪などで2日も洗わないと、もう痒くなってキーッっとなってくる。石鹸洗髪だと、もう少し、3日は持つかな……という具合。
でも、ハーブシャンプーだと、もっともっともっと洗わなくていいのだ。
いや、そんなに放置はしないのだけれども、かなり、洗わなくても済む。そして臭くならない(夫と子どもに嗅いでもらってテスト済み)。
そんなに石鹸やシャンプーは頭皮の油分を奪い取っていたのか、と(それが仕事なのだが)。そして取ればとるほどに油分を補おうと、頭皮はアブラを出していたのか、と(それが仕事なのだが)、驚いたのだ。

おかしいと思っていたんだよね。
平安時代の姫は、あんな長い髪を一日おきに洗っていたはずはないだとか、江戸のあの立派に結い上げた日本髪は一日おきってわけじゃないでしょ。縄文人だって、たぶんそう。なんで痒くならないんだろうって。
うちの猫(短毛種)だって体を舐めてれば、一生お風呂はいらない。そして臭くない。動物は自浄作用があるのに、人間はなぜそんなに洗わなきゃならないのかな、って。その謎が、これで溶けたような気がするワタシ……。

こうして、サラサラの後ろ姿美人と称されるようになって、はや数年。
石鹸やヘアカラー時代の髪は、もう昔に切り落とされて、ここにはない。切れ毛やうねり毛もない、はず。
そしてワイルドに今日も、草や実で頭、洗っている。


(やばい。まだまだ髪について語れるんだけど………… つづく!……かも!)

http://hena.ohah.net
↑オススメのヘナ&ハーブシャンプーのサイト。
ヘナもいろいろあって、実は純粋じゃない、ケミカル混合のものも、よそでは市販されている。それでトラブルを起こす話もあるので、ヘナをする場合は、よくお店を選ぶべきだと思う。



ここまで読んでくれただけで、うれしいです! ありがとうございました❤️