お母さんがサンタさんだった頃
姉はいつか幼かった頃、わたしに言った。
わたし、サンタさん見たよ。太ったおじさんだった。
https://note.mu/makoluckyhappy/n/ne638937210ec
あの頃、わたしは、サンタさんは絶対にいると信じていた。
だからこそ、クリスマス前夜のイブは幸福に満ち溢れていた。
サンタさんが来る!
遠い昔、母に何をサンタさんにお願いするかクリスマス前に聞かれたことがあった。
わたしはこう答えた。
コンパクト!
大人気アニメひみつのアッコちゃんにでてくる、あのテクマクマヤコン・テクマクマヤコン、のコンパクトがどうしても欲しかった。
クリスマスの朝、目覚めるとわたしの横にあったのは、あきらかに大きな大きな包みだった。
しかし、わたしは希望に満ち溢れていた。
中には、きっとあのコンパクトが入っている、と信じていたのだ。
中に入っていたのは、おもちゃのドレッサーセットだった。
おもちゃといえど、子供ながらにかなり豪華な一式であったことは記憶している。
しかし・・・わたしは・・・・・
うわぁぁぁん
大泣きしてしまった。
これじゃない、これじゃなくてアッコちゃんが持っているコンパクトが欲しかったの。
と。
記憶は薄れているが、きっと母はそうわたしに言われてものすごく残念な気持ちになっただろう。
きっと、クリスマスだから、と大奮発してわたしに買い与えたドレッサーセット。
母なりに、コンパクト(おもちゃの化粧道具)が欲しいというわたしの希望を聞き入れたつもりだったはずだ。
あの夜、わたしが寝静まったのを見計らって、真夜中にプレゼントをセットして、朝わたしにこれじゃない、と泣かれてしまったおかあサンタ。
あの後しばらくして、アッコちゃんのコンパクトを結局買ってもらった。
とんでもなく甘やかさていたのだなぁと申し訳なく思う。
母はいつでも優しい。
本当に本当に優しい。昔から変わらず現在も。
世界で一番愛する存在である。
大人になり、一番のクリスマスプレゼントは、おかあサンタがくれた無償の愛だったのだ、と気づかされる。
わたしはおかあさんの娘に生まれて世界で一番幸せな娘であると思う。
クリスマスイブ、大人になったいまも母に感謝せずにはいられない。
ありがとう、おかあサンタ。
メリークリスマス!
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