mako

詩を書いています。心が揺さぶられる、勇気が出る、美を感じる、クスッと笑える、大声出して…

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詩を書いています。心が揺さぶられる、勇気が出る、美を感じる、クスッと笑える、大声出して笑う、つらい時に束の間でも現実逃避できる、、、そんな世界を分かりやすい言葉で表現するのが目標です。最近、短歌にも興味を持ち始めました。あ、現在韓国ソウルに住んでいます。

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はじめまして。マコ・ニシタニです。

はじめまして。わたしは、mako nishitani という名で詩を書いています。2016年に第一詩集『汚れた部屋』、2022年に第二詩集『LAST DAY OF SUMMER』を出版しました。 第一詩集のタイトルにもある通り、わたしは30代後半まで、汚部屋住人でした。「掃除しますか? それとも人間やめますか?」というレベルで汚かったです(笑)。 当時、何か自分の人生が上手くいかない、といっても仕事もしていたし、友達もいるし、楽しいことももちろんあったのですが、一日一

    • アイスクリーム

      アイスクリーム ある日の夢の中でわたしは 葬儀を手伝うアルバイトをしていた 喪主に挨拶すると 学生時代に憧れていたY先輩だった 葬儀の準備をしていたら Y先輩がやって来て少しの間抜け出そうと言う 地元の商店街を抜けたところに 石の階段を上って行くような路地があり 階段の踊り場になったところに 小さなアイスクリーム屋さんがあった 「あら、Yくん、久しぶりやね  アイスクリーム一つ三百五十円よ  二つ?」 「いや、おばちゃん、  アイス一つ分を二つのコーンに入れて」 おばちゃん

      • ソフトボール

        ソフトボール 左腕を空へ伸ばし打球に向かって走ると ソフトボールがスパンとグローブに収まった 彼女は驚いて夢から覚める まだ夢の余韻が残る頭の中で レフトからキャッチャーの方へ必死に バックホームのボールを投げる 腕を大きく振った感覚が残る 昔練習していた河川敷のグラウンドの 雑草と炎天の匂いが脳に満ちる 彼女は起き上がる 傷ついたままでは終わらない note で展開されている季刊詩誌「Σ詩ぐ魔」第9号に掲載していただきました~! ちょっと気を抜くと更新ができなくなって

        • 夏とプロコフィエフ

          夏とプロコフィエフ プロコフィエフのバイオリンソナタ第一番 彼の作品中でも最も憂鬱で情熱的な曲であるとされる この曲の一楽章と四楽章のそれぞれ最終部に バイオリンが細かい音階を上り下りしながら奏でる部分があり プロコフィエフ自身がこの部分を 「墓場に吹く風」と読んだ この曲を聴いて夏を思い浮かべる人がいるだろうか? わたしはなぜか 高校のグラウンドと その上に広がる真っ青な空が思い浮かぶ わたしは糸 あるいは凧の足のような細長い紙切れを手にしていて 手放すとそれらは空に吸

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        はじめまして。マコ・ニシタニです。

          朝起きない

          朝起きない わたしは今日起きない 全存在をかけておきない 全存在ってナニそれ 永久に起きない 永久にって今日だけのくせして とにかく起きない もしわたしが三十代独身女だとしたら 会社では課長が ニシタニさんが来てないようだけど誰か連絡もらってる? A村さんちょっと電話してみて A村さんがしぶしぶ電話するけどつながらない ニシタニさん電話に出ませーん もしわたしが既婚で幼児一人の母だとしたら おまえいいかげん起きろよ 夫が大声を出そうと 保育園に行きたくない子供が ここぞとば

          朝起きない

          荒れ果てた庭

          確かフランスの詩人がこんなことを書いていた 俺はいまや壮年期に差しかかり 周囲の人々は生活を作り上げ実りを得る時分 なのに俺の庭はまだ草ぼうぼうに荒れ果てていて 家の土台さえ造ることができない 俺は今まで何をやっていたのか バカな自分がみじめで このまま何も為し得ず老いていくのかという恐怖に おかしくなりそうなのを堪えながら 草を刈っていると つい先日ある人がわたしに 「時間はあります」 とふいに言ってくれたことがあった 自分のやりたいことをやる時間は誰にでもあります その

          荒れ果てた庭

          日曜日のきみに

          日曜日のきみに 青い空に雲がゆっくりと流れてゆく ただそれだけのことなのに これを美しいと思うように 人の心が作られているのが不思議だ 人が空を見上げるのって どういうときなんだろう 太古の昔から 人は空を見上げてきたのだろうけれど 「山のあなたの空遠く  幸い住むと人の言う」 二、三十代のころ ブッセの詩片を思い浮かべながら 住宅街の向こうに広がる空を 小さなベランダからよく眺めていた ワンルームマンションの面した細い路地に 子供の声が響いている日もあって なん

          日曜日のきみに

          短歌3

          若いころやりたいことなど何もなく高架の駅から町を見下ろす  昔、JRの普通列車にのって海南駅(和歌山県海南市)を通過したことがあるのですが、山に囲まれたこじんまりした町全体が高架の駅から見下ろせたんですよね。なんか無性にこの町に住んでみたいなと思った記憶があります。で、そのときに見た町があまりにも魅力的に感じて、後日、レンタカーを借りて大阪から出かけてみたのですが、実際に行ってみると、うーんただの田舎町やな、、、ってなりました。(その町の方ごめんなさい!)でも、突然ふらっと

          短歌3

          短歌2

          河川敷のグラウンドで球受けるレフトの脳裏草いきれ (この記事をさっき間違って削除してしまったので、再投稿します😱 削除する前にスキを下さった方、ありがとうございました。せっかく下さったのにごめんなさい🙇‍♀️) 夏、河川敷のグラウンドで、小学生や中学生が野球とかソフトボールの練習をしている(大人の草野球でもいいんですけどね)風景なのですが、河川敷って雑草が生い茂ってるじゃないですか。実際にはグラウンドにいる時に草の匂いはしないかもしれないんだけど、知らずのうちにあの今ボー

          短歌2

          短歌作ってみました

          鏡台の母のコールドクリームの匂ひ         フローレンス フローレンス 「フローレンス」言いたかった(笑)。 作ってはみたものの、これは短歌としてちゃんと成立しているのでしょうか。字余り、句またがり(って言うんだっけ?)あります。  ところで突然ですが、最近わたし、急にお笑いのホリケンにドはまり中でして、ユーチューブで、ipponグランプリとか、「タコ公園のタコ女」(しゃべくり007?)とか、「もし徹子の部屋にホリケンが出演したら」というホリがホリケンをものまねした

          短歌作ってみました

          また好きでもない男と寝ようとしていた

          菜の花 また好きでもない男と寝ようとしていた あたしはときどき子供に返る 離婚して小さな娘をひとりで育てているという男が 「手」 と言って出させた娘の手を握り 眠る夜があると聞いたとき ときどき子供に返りながらも やはり大人の女であるあたしはこの男に どんなふうに抱かれるのだろうと想像した 近所のどぶ川のふちに菜の花が群生している 丈は二メートルを超えるだろうか 雨が降るとどぶ川は 白濁した緑の水嵩を増し ゴミの入ったスーパーの袋や空き缶に覆いかぶさる 雨の日 どぶ川の土

          また好きでもない男と寝ようとしていた

          あたしは金も才能もない女だ

          汚れた部屋 あたしは金も才能もない女だ あたしの部屋は腐った花の匂いがする 数ヶ月前玄関先で洗剤の箱につまづいて 白い大量の粉が廊下に散らばったままだ あたしはほんとうは花が好きなのだ 実家では庭中に花が育てられていた 毎日この部屋に帰って来て一歩足を踏み入れたとたん あたしは崩れ落ちる 買ってきた野菜は冷蔵庫で腐っていく ビールとチューハイの空き缶が転がる キッチンのシンクに何ヶ月も前に使った鍋や皿が 澱んだ水に浸かっている あたしカラカラ 花が根腐れしている  わたし

          あたしは金も才能もない女だ