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お金とエネルギーは、イコールではない

「お金はエネルギーだ」と言う人が時々いる。
言いたい気持ちはわからないではないが、
実際、お金は、エネルギーそのものではない。
あくまでも、エネルギーの移動量を視覚化して客観的に表現するために考案された「貨幣制度」という仕組みの中で用いられているツールに過ぎない。

ツールが、ツールとしての機能を適正に保つためには、
元の現象の振る舞いをなるべく忠実に再現していなければならない。
元の現象の振る舞いを再現できなければ、そのツールは実態を反映していないことになる。
もし、実態を反映していないツールを通してそれを現実の状態だと思い込んでいるとしたら、これほど滑稽なことはない。
しかし、現代社会においては、残念ながらそのような錯覚状態が巷で氾濫しているようにも見受けられる。

自然界におけるエネルギーは、多くの場面で熱エネルギーとして放散し減衰する。
「エネルギー保存則」が成立するのは、あくまでも閉じた系全体の総和についての話であって、
開放系では当然ながら、これは成立しない。

そもそも地球環境は、もともと開放系である。
事実、刻一刻と太陽エネルギーが外部から供給され続けているのだから、
地球全体のエネルギーの総和は一定ではない。

お金は現実のエネルギーを代替するツールとして用いられているが、
その本質を理解せずに用いかたを誤ると、実態から解離してしまう。
つまり、自然には起こらないはずの現象を認め、存在させることになる。
想像力が豊かな人間は、実際には存在しないものを可視化することにより現象として存在させることができてしまう。
そのことによく留意しながら、お金の使いかたをよく考えなければならない。

あなたの今日のお金の使いかたが、
明日の世界の在りようを決めていく。

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