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シャネル・ネクサス・ホール“ヴェルサイユ宮殿の光と影”森田恭通の写真展に行ってみた

銀座Chanel・ネクサスホールで、「ヴェルサイユ宮殿の光と影”森田恭通の写真展」を拝見してきた。

圧倒されるモノクロ写真たち
来ている人は意外と多くない

国王ルイ14世によって壮麗なバロック建築として生み出されたヴェルサイユ宮殿。今回モノクロ写真に収めた写真展だ。
圧倒される激しい美のコントラストに足を踏み込んでしまうと戻れない世界。価値観、高圧的な美徳、吐き気のする狂気。けれど美しい。それは僕の美観、コンテキストを越えたものだからだろう。

モノクロだけれど鮮やか

作品はモノクロフィルムだけで表現されている。それはきっと森田恭通氏が「華やかさを誤魔化したくない」「光の階調だけで十分豪華だ」と察したのではないだろうか。そして歴史的背景とその裏側にある悲しみ。それを超越したとんでもない怪物的「ベルサイユに足を運んだものだけが得られる背徳感」「栄光と挫折」を「光と影」のみで表現したかったんじゃないだろうかと想像する。
構成は展示全体シンプルである。その引き換えに手に入れられる感情の突起。写真表現を通した「涙のシルエット」という言葉が似合うかもしれない。

人間という怪物が生み出した虚像建築

僕らの世界は広いのだと知らされる

歴史を表すにはモノクロームが似合う

認めたくない鮮やかさ
僕らの世界はまだ小さい


僕はこの宮殿で亡霊を見た


ただただ美しい
多くの権力者が舞踏会へその脚を踏み鳴らしたのだろう

写真から感じるベルサイユ宮殿というカオス。権力の集中と象徴。屈するしかない迫力。それは僕の想像の外にあるようだ。
中世時代のうごめく憎悪。今を生きる僕らの心は進化しているのだろうか。それとも、この宮殿に引き宿る魂に導かれてしまうのだろうか。権力を持つ側と持たざる側。奪い奪われることが常に歴史が証明してきた真実はここにはない。それは幸せなことなのかもしれない。それはベルサイユ宮殿はこの先も残り人類にその答えの無い問いを語り掛けるのだから。

この宮殿には亡霊が出る

多くの栄光を謳歌した者たちが許された晩餐会。そして僕もその幻想の片鱗が見えたかもしれない。人を虜にする「魔法の香水」のようだ。だが、それはきっと亡霊なのだろう。あのベットに横わたるマリーアントワネットなのかもしれない。

展覧会概要

「In Praise of Shadows ─ ヴェルサイユ宮殿」森田恭通 写真展
会期:2023年9月27日(水)〜11月5日(日) 会期中無休
会場:シャネル・ネクサス・ホール
住所:東京都中央区銀座3-5-3 シャネル銀座ビルディング 4F
開館時間:11:00〜19:00(9月27日(水)のみ18:00まで)
※入場はいずれも閉館30分前まで
入場料:無料
予約不要

【問い合わせ先】
シャネル・ネクサス・ホール事務局
TEL:03-6386-3071

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