makoto

優しい写真をあなたに leica・photographer/Tokyo

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  • 写真と詩

    leicaで撮影した写真と、その風景から感じた詩を載せています。

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    小説を載せています。半年に一度のペースで掲載していきます。

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自己紹介

はじめまして。makotoと申します。 Leicaで撮る写真に憧れてインスタを中心に活動しています。 この度、noteを始めることにしました。 noteでは写真について詳しくコメントしていこうと思います。 はじめてお会いする方に、簡単に自己紹介をさせていただきます。 プロフィールmakoto(まこと) 東京都生まれ。 leicaカメラを使い、モノクロ写真を中心に撮影を行う。 2019年からインスタグラム(@mactips2020)で写真発表を開始。 主な受賞 ジェットダ

    • バイオリンに夢を託して

       3月中旬の東京。暖かくなってきたがまだ風は冷たく、桜は僕らに姿を見せない。僕は手に馴染んだカメラを肩にかける。けれどどんな場面も見慣れた冬の空だけが僕の前に重く横たわっていた。  僕は撮影を諦め、テニスコートへ向かう。もう何年も動かしていない身体を温めるようにテニスラケットで昔の姿を重ねながらショットを繰り返す。僕の身体を表すようなガットの張り。プレーもずいぶんミスショットが増えた。ボールの勢いはあの頃とは違う。戸惑いの振り上げたラケットを置き、空を見上げる。まだ冬はそこに

      • 写真展「中平卓馬 火―氾濫」

        東京国立現代美術館にて「中平卓馬 火―氾濫」展を拝見してきた。 中平卓馬氏は1960 年代末から70 年代半ばにかけ写真について実作と理論の両面において大きな足跡を記した写真家だ。恥ずかしながら僕はこの写真家を詳しく知らなかった。写真表現は「日常を非日常に捉え直す」そんな印象だった。 モノクロでしか写真を表現できない時代、あえて「写真との関連性から引き離し写真独自として作品成立させたい」と思わせる作品ばかりである。その代表的な作品が「provogue(プロボーグ)」だろう。

        • 「東京クローズド」

          東京が雪の洗礼を受ける 人々は戸惑う それはサヨナラが言えない思いに似てる もう会えなくなるのに 集まってくる光の粒 見下ろす僕らの世界 だるい空気 息が苦しく あの日から 雪の螺旋から抜け出せない それを留めることはできないのだから 僕はあきらめて カメラを持って東京駅へ 探している写真を求めて 雪という不誠実さに導かれ 激しいカミナリさえも凍える いくつもの翼が消えていく 何もない空 僕がここにいると手を振ったとしても 希望や理想より誠実な雪 白さに偽りはない

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        記事

          「突然奪われる日常」

          「突然奪われる日常」 * * 少し遅い朝 汗ばんだ身体 外の景色は変わらない 年を一つ重ねただけ 今日風は吹かない 寒さも和らいだ 何気ない日常に近い元日 ふと忘れてしまいそうな正月 今年はどんな日になるのだろうかと 思いを馳せる一日 あなたに話したいことがたくさんあった 月日が巡る中で、一年を一番思う日 しかし今日(1月1日)は違った 突然の激震が日本海側を襲う それは乱暴に、なおも深く テレビでは「命を守る行動を」そう叫ぶ 波が町を襲う 眠りにつく途中で起こされたよ

          「突然奪われる日常」

          「僕はモノクロ写真が好きだ」

          「僕はモノクロ写真が好きだ」 * * 今日はモノクロ専用機で海へ出かけた 雲は分厚さを増して、その動きは鈍い きっと動かない季節としてなのだろう 同じ季節なんてないのだ 雲の先には本当の冬が横たわっているのだろう 太陽が見えずとも波は繰り返し迷い込む 静かすぎる海は、意味を求めているようだ 足元に波と砂が目覚めていく そびえる風車 動かないことで存在感を増す すべてさらっていく風は訪れない 僕は決心したようにシャッターを切る それは少し重い決断のようだ 今は見えないもの

          「僕はモノクロ写真が好きだ」

          「彼の右手はライカを持っていた」

          「彼の右手はライカを持っていた」 * * 雨抜けの東京 冷たい風は少し和らいで 申し訳なさそうに太陽がビル間に顔を出した Leicaショップ 彼は突然現れた 片手にLeicaモノクローム それは多くの世界で 多くの人を撮った機体 彼は僕に握手をし、そして写真を撮った 僕もお礼に 彼の写真を撮った それはカメラマン同士の挨拶だ 彼は東京を撮り 僕も東京を撮る そこに国境も人種もない 誰も裁かないし 誰も色を分けない 僕も彼も同じ どこか異邦人 僕も彼も 写真を撮る 僕

          「彼の右手はライカを持っていた」

          「秋の後ろ姿」

          「秋の後ろ姿」 * * あなたの声 外の気配 息はまだ粗い ひととき どこまでも 離れるための旅 風をのせて 高い雲 他の誰でもないあなた 海のように ひとは流れ 戻ってこない 秋よ 別れの言葉 どこで あなたに会いたい 僕の精一杯の涙 見えるはずもない 離れても まだ "Autumn back view" mn back view" * * your voice, a presence outside My breath is still rough for a

          「秋の後ろ姿」

          シャネル・ネクサス・ホール“ヴェルサイユ宮殿の光と影”森田恭通の写真展に行ってみた

          銀座Chanel・ネクサスホールで、「ヴェルサイユ宮殿の光と影”森田恭通の写真展」を拝見してきた。 国王ルイ14世によって壮麗なバロック建築として生み出されたヴェルサイユ宮殿。今回モノクロ写真に収めた写真展だ。 圧倒される激しい美のコントラストに足を踏み込んでしまうと戻れない世界。価値観、高圧的な美徳、吐き気のする狂気。けれど美しい。それは僕の美観、コンテキストを越えたものだからだろう。 作品はモノクロフィルムだけで表現されている。それはきっと森田恭通氏が「華やかさを誤魔

          シャネル・ネクサス・ホール“ヴェルサイユ宮殿の光と影”森田恭通の写真展に行ってみた

          何処かで笑われたって

          僕の感情はファーストフードみたいに冷めてしまった。 信じていたものより大事じゃないものに、偏ってしまった どんな言葉をもってしても君に手渡すことのできない午後 通り過ぎた夏 僕は薄明りで 君を探すけど  夜空は見えるだけ  それは僕ができること 何処かで 僕のことを笑っていても 構わないさ それでも 君の純粋さが この夜空に ちりばめられていれば 壊れたイヤホン かすかに聞こえるメロディ 遠くで鳴ってるラジオのよう 好きだった曲だったらよかったのに 僕は吐き気がした

          何処かで笑われたって

          「同窓会って」

          久しぶりに会う面影たち そう、それは昔多くを過ごした友 33年はそれぞれに散らばって 解けない糸みたいに 広い世界で、どこか砕けた 深夜24時を越えた空白 でもそれでは埋まら時間ずっと同級生がくどい話してるそっくりにできた友人 見当つかずの場当たり声だけ変わらず 僕もいつか そんなふうに誰かに言われるのかな 目も見えないくらい生きてるだけなのに 僕だって涙する 自分にイライラする 理不尽な感情もある いまだに僕自身を探したりする きっとみんなもそうなんだろう

          「同窓会って」

          夢中になるほどの夏

          「夢中なるほど夏」 * * 僕が描く夏休み もう少しだけ待って 古すぎる花火 生ぬるい風 手の平の汗 いつもモノクロの新聞 オールのレンズの奇跡 欠けた月 割れた日々 余る熱量 失敗の建築物 言葉はあふれるのに 自然に消えて たいてい忘れてしまう 思い返したとき ふと恥ずかしくなる 君を震わすもの 僕を動かすもの もしかして この夏にあるのかもしれない "Fascinating Summer" * * Summer vacation that I draw wait

          夢中になるほどの夏

          届けたいものって温かいものだよ

          「届けたいものって温かいものだよ」 * * 色を失ったって がれきの街であっても 追いかけてくる苦しさでも 端っこで僕は叫ぶ 記憶が邪魔しても 鏡が僕の意気地なしを写しても 心から漏れた弱虫の声 辛いほど夜に響く 震えた手 一年前の写真を見返してる ずいぶん、ヒーローぶってる そんな君を迎えに行けなかった 笑う君 抱きしめるまで時間がかかった それを運命の邪魔だとしても この街で埋もれた声 もう聞こえないけど 届けたい思いは ちゃんとまだある "What I w

          届けたいものって温かいものだよ

          「行ったことの無い町」

          行ったことの無い町 * * 知らぬ名を叫んだ あの日の町 僕の胸に新鮮な空気を吸い込んだ 色の無い町 光だけが溢れて 待つことの無い夢がいつか 扉を開けて待っていた すれ違う人 もう会うことは無い 誰も知らない所へ行った その横顔 思い出すことはできない でも この写真に残っている 人目も振り切って切ったシャッター 忘れるように、カメラを掲げる 小さな自分 存在を表すように 走り出す少年 それは 夢をみる過去の僕だった "A town I've never bee

          「行ったことの無い町」

          「昔、空はもっと広かった」

          「昔、空はもっと広かった」 * * 空いっぱいに広がる飛行機 影と風が僕らを覆う 行先にきっと誰かが待つだろう 今日は暑かった 映画も観なかった 僕が愛した国は 何処かへ消えた あの日から それは君も気づいているはず 羽を受け、風を味方にする どんな気分なんだろう ひとかけらでも、手にしてみたい 昔は、飛行機で 小さな自分でも描けた世界地図 今は、街角すら不安ばかり 夢見ていた頃、そんなんじゃなかった 秘密は、もっと楽しみだった 今は手放したものを 愛おしく、悲しく

          「昔、空はもっと広かった」

          振り向いてくれた夜に

          「振り向いてくれた夜に」 * * かき鳴らすアコギ 誰に聞かれることもない 憧れの人 焼けるような夜 誰もが同じような空間 一瞬でも君に届けば 君の中で歌が響けば 何かがとろける この街は知らない 喜びや悲しみ 心が乱れて誰かを探す でも、この曲を聴くと 狼狽える君を慰めることができる わずかな時間 夢に似た歌で 嘘でもいい 永遠という言葉を君に届けたくて 雨でも暑さで、色褪せた景色の中でも そう、 初めて振り向いてくれた夜に "On the night you

          振り向いてくれた夜に