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保証業務・グループ監査・レビュー

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阻害要因とセーフガード(倫理規則)

<阻害要因>
◇自己利益
「適正意見の表明をもって監査報酬を増額する」という成功報酬による監査契約を締結した場合、/監査人が自己利益のために公正不偏の態度を損なう虞れがあり、公正不偏の態度の保持に対する社会的信頼が損なわれる虞れもある。
→成功報酬による監査契約の締結は職業倫理上禁止されている。

◇自己監査、自己レビュー
内部監査業務と財務諸表の監査業務を同時提供する場合、自己監査となる。
→金

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重要な構成単位

グループ監査チームが、以下のいずれかに該当すると識別した構成単位をいう。

① グループに対する個別の財務的重要性を有する。

② 特定の性質又は状況により、グループ財務諸表に係る特別な検討を必要とするリスクが含まれる可能性がある。

監査人の責任

★「監査の基準は監査人に財務諸表に重要な虚偽の表示がないかどうかの合理的な保証を得ることを求めていること」を記載する意義
合理的保証とは、監査が監査資源の制約と経済性の要請、内部統制固有の限界、監査証拠の間接性等の制約から重要な虚偽表示が存在しないことの保証は絶対的なものではなく、「合理的」な範囲での保証にとどまることを明示するものである。

★「監査は経営者が採用した会計方針及びその適用方法並び

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会計監査の歴史

<19世紀 英国式監査 精細監査>
当時の監査の目的=「企業内部の利害関係者たる経営者を保護すること」
特徴:
①「従業員が会計帳簿を操作して行う不正」を完全に摘発するため、精査により実施
②「行為の誠実性」を保証する実態監査

【20世紀 米国式監査 貸借対照表監査】
間接金融の発達に伴い、金融機関が意思決定(融資審査等)のため、企業の安全性を評価するための資料として、監査済み貸借対照表の提出を

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貸借対照表監査

20世紀初頭、アメリカの連邦準備制度発足当時の貸借対照表監査は銀行を中心とした債権者保護目的で行われていた。

 1910-1930年代に、信用調査目的に特化した監査が行われるようになった。
 当時のアメリカでは企業の資金調達の中心は間接金融であり、銀行が融資をする際、企業の与信能力を確かめるために監査を要請するようになった。
 監査は貸借対照表における企業の財政状態の表示が適正であるかどうかにつ

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実施基準の分類

1. 事業上のリスク等の重視

2. 財務諸表全体と財務諸表項目の2つのレベルでの評価

3. 特別な検討を必要とするリスク

4. 監査計画の修正

5. 経営者が提示する財務諸表項目と監査要点

6. 内部統制に依拠しない監査

7. 不正及び誤謬

8. ゴーイング・コンサーン問題への対応

9. 情報技術

10. 経営者確認書

11. 他の監査人等の利用

保証業務の一例としての財務諸表監査

監査人は投資家と経営者の間に介在し、保証業務を通じて情報の信頼を高める。

主題である「企業の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況」について、/主題に責任を負う者としての「経営者」が、一定の規準としての「会計基準」に従って測定し、/その結果を主題情報たる「財務諸表」として「投資者」に提示する。

業務実施者である「監査人」は、/想定利用者である「投資者」の財務諸表に対する信頼の程度を高め

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限定的保証業務

結論を表明する基礎として、業務実施者が保証業務リスクを個々の業務の状況において受入可能な水準に抑えるが、/保証業務リスクの水準が、合理的保証業務に比べてより高く設定される保証業務をいう。

監査の必要性

 企業の大規模化に伴い、外部に不特定多数の利害関係者が存在し、開示する財務諸表の社会的影響が増大している。
 財務諸表が歪められている場合、利害関係者は誤った経済的意思決定を行い、その結果損害を被るなど重大な影響を受けるため、財務諸表監査が必要になる。

★財務諸表の信頼性に保証がないと仮定すると…
外部の利害関係者は不測の損害(粉飾による損害)を被ることを懸念し、企業との取引を躊躇する虞れがある

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職業会計士が提供する業務

保証業務とそれ以外の業務に分類できる。

◇保証業務
・決算財務諸表の監査
・レビュー業務
・内部統制監査

・内部統制の検証業務
・ITシステムの検証業務
・コンプライアンス検証業務

・環境報告書の検証業務

◆それ以外の業務
・財務書類の調製業務
・合意された手続業務
・税務申告業務
・コンサルティング業務

保証業務の定義

・依頼者との間で合意した手続によって発見された事項を報告する業務
・財務諸表の作成に関与する業務
→保証業務に含まれない。

合意された手続
→業務実施者が自らの判断によって証拠を入手しない、手続の結果のみが報告され結論が報告されない
→非保証業務

財務諸表の調製
→2者関係を前提として、経営者のために行われる非保証業務

会計システムの構築支援
→2者関係を前提として、経営者のために行われる非

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保証業務①

主題に責任を負う者が一定の規準によって当該主題を評価又は測定した結果を表明する情報について、/それらに対する想定利用者の信頼の程度を高めるために、/業務実施者が自ら入手した証拠に基づき規準に照らして判断した結果を結論として報告する業務をいう。

例:財務諸表監査 

主題に責任を負う者→経営者/想定利用者→投資者/業務実施者→監査人

一定の規準によって主題を評価又は測定した結果を表明する情報→財

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保証業務②

主題それ自体について、
それらに対する想定利用者の信頼の程度を高めるために、
業務実施者が「自ら入手した証拠に基づき規準に照らして判断した結果」を結論として報告する業務をいう。
(ダイレクト・レポーティング方式)

例:米国内部統制監査
主題:内部統制の整備・運用状況とその有効性
想定利用者:利害関係者
業務実施者:監査人
証拠:監査証拠
規準:米国内部統制監査基準
報告:米国内部統制監査報告書

規準

「主題に責任を負う者が主題情報を作成する場合」及び「業務実施者が結論を報告する場合」に主題を評価又は測定するための一定の規準である。

業務実施者が、一定の規準として、自らの期待、判断及び個人的な経験を用いることは適切ではない。