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変化と状態が織りなす円環〜呼吸は姿勢に従い、姿勢は呼吸に従う〜

Form follows function. 

Louis Sullivan(建築家)

"Form follows function." とは、建築家のLouis Sullivan(ルイス・サリヴァン)による格言で「形態は機能に従う」と訳されることが多いようです。

今日もまたヨガを通して感じていることを綴りたいと思うわけですが、ヨガにおいて大切な「呼吸」が「姿勢」つまり身体の状態と密接に関係していることと、"Form follows function"という言葉が重なっているのではないかと思うのです。

「呼吸は姿勢に従い、姿勢は呼吸に従う」

一方通行ではなく、円環構造を成している。呼吸が深く入るということは、肺が十分に膨らんでゆくことを意味します。ということは、肺が膨らむことを妨げる力を最小化することが重要になるわけですが、その一つが自分自身に働く重力、つまり重さです。

「だらっ…」と上半身が重さで下に沈み込んでしまうと、肺が膨らむ動きが抑えられてしまい、「なんだか呼吸が入らないな…」という感覚を覚えます。

上半身が沈み込まないためには「抗重力筋」を意識的に使う必要があり、抵重力筋を使うためには足裏、下半身に体重が適切にかかっていなければなりません。結果、地面から受ける垂直抗力が下半身、そして上半身へと有機的につながって抗重力筋が使えます(上半身が上に向かって伸びる感覚です)。

抗重力筋(こうじゅうりょくきん):地球の重力に対して姿勢を保持するために働く筋肉。

抗重力筋は地球の重力に対して姿勢を保つために働く筋肉のことです。下腿・大腿・腹部・胸部・首の各部前後に張り巡らされ、前後互いに伸び縮みをしながらバランスを取っています。立っているだけ・座っているだけでも常に抗重力筋のどれかが緊張しています。最も疲労しやすく収縮したままになりやすい筋肉といえます。

本来抗重力筋が正しい状態にあると、抗重力筋全体がバランスを取り合い身体の歪みが修正されます。日常生活で身体に癖がつくと、抗重力筋は癖のある悪い姿勢を記憶して身体の歪みを作り、慢性の肩こりや腰痛を引き起こします。

厚生労働省

正しい姿勢で呼吸を繰り返すことにより、肺が十分に広がる。肺が拡がって伸縮性が高まることで呼吸がさらに深く入り、肺が広がる動きは上半身が上に向かって伸びてゆくことをサポートするので、さらに姿勢が整ってゆく。

呼吸と姿勢の円環構造は「最初(の姿勢)が大切である」という感覚に結びつきます。そして、呼吸は「変化」であり、姿勢は「状態」であると捉えると「変化は状態に従い、状態は変化に従う」という、より抽象的な円環構造が見出されます。

この「変化は状態に従い、状態は変化に従う」という円環構造は、数学的には「微分方程式(連続)」「差分方程式(離散)」に相当するわけですが、一般的な解を得ることは難しく、一般解を得られる場合には直線的ではないつまり「非線形」であることが多い。

人間は「未来を直線的、つまり過去の延長線上に描いてしまう」ことが多いのではないかと想像するのですが、万物、ましてやこの世に生を受けてからこの世を離れるまで最も近しい存在である自分自身(身体)が「変化は状態に従い、状態は変化に従う」ような性質、非線形性を備えているのだとすれば、遠い先の未来を正確に予測しようと苦心するよりも、「一瞬一瞬の状態と変化に集中し続ける」ことが大切なのではないかと思うのです。


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