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パーキンソン病と睡眠時無呼吸症候群

Brain Sci. 2023 Aug; 13(8): 1202.

Neurological Insights into Sleep Disorders in Parkinson’s Disease


睡眠障害と認知症はパーキンソン病の重要な特徴であり、神経変性の進行と認知症症状の発症を予測するための重要な予後因子です。

まだ原因が解明されていないパーキンソン病。

いったい何がパーキンソン病を引き起こすのでしょうか?
2023年の論文から紐解いていきます。

腸内細菌叢とパーキンソン病

パーキンソン病の原因は解明されていませんが、腸内細菌叢も重要な役割を果たすことがわかっています。
腸内細菌の異常は、炎症性のシグナルを生み出し、中枢神経系に伝わり、脳血管関門を妨害します。
それにより、α-Synという蛋白質が蓄積して、パーキンソン病の発症につながる可能性があるようです。

遺伝とパーキンソン病

遺伝とパーキンソン病の関連も報告されています。
代表的な遺伝子は、SNCA, PARK2, LRRK2, PINK/PARK6, など、頭が混乱してきそうですね….
GBA遺伝子の変異はパーキンソン病の重要な危険因子です。
遺伝的にもパーキンソン病の発症があるとするならば、生まれつきリスクが高い方がいるという事なんですね。

睡眠障害とパーキンソン病

睡眠障害はパーキンソン病に重要な影響を与えている可能性があります。
それは脳構造の損傷です。
睡眠障害により、睡眠神経回路の変化、神経変性、炎症反応、夜間の脳酸素化障害、不規則なたんぱく質の蓄積などが高められる可能性があります。

実際に閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSA)とパーキンソン病は非常に一致します。
大規模な研究で、パーキンソン病の患者さんに睡眠時無呼吸が多いと報告されています。

以上から、パーキンソン病における睡眠時無呼吸症候群は重要なリスク因子と考えられます。

脳波計測から推測されること

パーキンソン病よりも難治性の多系統萎縮症の方の脳波を計測する機会がありましたので、計測すると……..

途中で寝落ちしたときにたまたま脳波を計測できたのですが、その時に緊張感や焦燥感、不安やイライラなどの大脳の活動状態を反映する「ベータ波」を中心とする脳波エネルギーが急激に上昇しました。

まるで起きて興奮しているかのような脳波……


これは浅い眠りのレム睡眠でしょうか?
浅い睡眠のレム睡眠では、脳が活発に働いており、記憶の整理や定着が行われています。大脳が休息して脳や肉体の疲労回復のためにはノンレム睡眠の深い眠りが必要です。
いったい、この興奮したような脳波はいつまで続くのでしょうか?

残念ながら、脳波を計測し続けることはできませんでした。


ここからはあくまでも仮説ですが、
もしかしたら、睡眠時無呼吸症候群で脳内の低酸素環境、炎症、不規則なたんぱく質の蓄積などが多系統萎縮症を引きおこすだけでなく、
脳が休まることなく活動し続けて疲労しているのも一つの原因かもしれません。ずっと脳が睡眠中に休むことが出来なければ、どれほどダメージがあるでしょう?

今回の論文と結果から、あらためて睡眠の重要性を再認識しました。


見逃してはいけない睡眠時無呼吸症候群

当院でも睡眠時無呼吸症候群の患者様はとても多く、夜間の酸素飽和度が富士山の頂上や、キリマンジャロの頂上に匹敵するくらいに低下しています。
このような方は、CPAPで治療をすることにより、血圧が落ち着いたり、夜間頻尿が改善したり、慢性的な疲れが改善していきます。


睡眠時無呼吸を放置すると、
脳血管障害、不整脈、肥満、糖尿病、交通事故のリスク増、突然死のリスク増になりますので、心配な方は当院までご相談ください。


*患者様のデータの使用については許可をいただいております。

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自律神経・脳波リアルタイム測定は「岡崎ゆうあいクリニック」で受け付けています。ご希望の方はクリニックまでご連絡ください。
シンプル瞑想もご希望の方も紹介をさせていただきますので、当院までご連絡ください。

0564-64-1722
https://okazaki-yuai-clinic.com/

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