首下がり症候群と枕について

前回、首下がり症候群について詳しくその症状や原因についてお話をしてまいりました。
今回は首下がり症候群と枕という話をしたいと考えています。
大前提として、首下がり症候群の頻度はそう高くないので私もこれまで30年ぐらい医者をしている中でも首下がり症候群の患者様はおそらく20名ぐらいしか見たことがありません。
しかし、ほぼ全例に私は適切な枕を首下がり症候群の方に使っていただきたいと考え、その枕調節を行ってきました。その医療的な経験から今日のお話をしたいと考えています。
この首下がり症候群の方に一人一人適切な枕の高さを調節すると、その中でも何名かの患者さんが首の症状が改善して少しずつ首が持ち上げられるようになったという声を頂くことがあります。
もちろん、日中起きている時の姿勢を正すためのリハビリテーションと枕、この両方をやっていただく必要があるんですが、是非試してみる価値があると思います。
このように寝たときに首下がり症候群の方どうしてもこうなっているので、寝ても枕が高くなる可能性が高いと考えます。
もし、首下がり症候群がなければ体格的にはこのぐらいの高さの枕が適切な患者様でも、首下がり症候群があることによってより高い高さが必要になることがあるんです。
枕の調節方法は上向き、横向き、寝返りが最も楽な姿勢で調節する当研究所のSSS法に基づいて行なっていただきたいので、これまでに多くのyoutubeなどでもご紹介しています。そちらの動画をご参考にしてください。
もちろん、枕を使用して1週間、1か月で症状が良くなるわけではありません。
中には半年、1年、それ以上 かかる方もいますが、何の基準もないふかふかの枕や凹凸の枕、体に合っているかどうかもわからないようなものを使う時間があったら是非、適切な自分に合った枕を使い続けることで効果が出るかどうかを自ら試していただくことが必要と考えます。
私のとても印象に残っている首下がり症候群の患者様について少しご紹介したいと思います。
その方は70歳代の方で現役でバリバリお仕事をしていたんですが、ある時自分の首が非常に下がっているということに気づきました。
当然、下を向いて書くことはできても上を向いて人と話をしたり、また説明をしたいという機会において、生活上、仕事上さまざまな不具合が生じていました。
そこで患者様は当院にご相談にみえたわけです。
私はもちろんこの適切な枕の高さ調節というものを教えて、毎日このしっかり自分の体に合った高さで硬い枕を使っていただくことを推奨しました。
3ヶ月から4ヶ月ぐらいだった頃から首が少し楽になったという声を聞き、さらには1年、2年とずうっとその方は枕調節を続けてくださった。そして一方で、しっかりと運動するためにリハビリテーションも続けてくださったんです。
現在では首が伸びてほぼ真っ直ぐに頭を持ち上げることができ、人と話をする、何かを説明する、こういった時にもほぼ困らない状態と改善されております。
しかし、その方が立派なのはそこで決して中止しなかったこと。
その先も今でも毎日運動を続け、適切な枕を使い続けていらっしゃるという様子を日々伺っております。
ですので、どんな首下がりの患者様も決してあきらめることなく、適切な枕の高さを調節することと背筋を強化するのリハビリテーション、これを行っていただくことで少しでも改善することを心から祈っております。
実際に試してみてください。

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