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20歳の頃に雑誌にモデルとして出演し大変な想いをした話

やまのぼさんという方が、CMモデルをされていた時の話を記事にしているのを拝見しました。

手の出演なんて話には聞いたことはありましたけど、自分が関わった人の中で体験談なんて聞いたこと無いですから、やっぱりnoteの海っていうのは広いなぁと感じる訳です。


こういうのって誰かが話を出すと「実は私も~」みたいな力のインフレみたいな現象が起きがちで、おおおすげえなそりゃ!っていう逸話が逸話を引き寄せるみたいなことになるんですけど、っていう前置きをしたうえで。


実は私もやまのぼさんみたいにCMって訳じゃないんですけど、モデルをしたことがありまして。


なんて話をすると、ランウェイを足Xみたいな感じでスコーンスコーンスコーン!って歩いて、キリって睨みを利かせて、でまたスコーンスコーンスコーンって帰っていくあれとかイメージをされる方も多いかと思いますが、私の場合はそういうのじゃなくて。


雑誌のヘアモデルをしたんですよ。
当時。


あれは読者モデルっていうカテゴリに入るんですかね。


そもそも私は読者モデルっていうのがどういうカテゴリのものかはよく分かっていないんですけど、あれは原宿辺りでオシャレな人が歩いていたら、雑誌社の人が写真撮らせてくれって言って、まぁしゃーねーなーって言いながらだるそうに撮ってもらうみたいなやつのことを指すんですかね?


要は、こっちが手を上げるんじゃなくて、雑誌社の人が声をかけるみたいなきっかけのもの。だとするとちょっと違うんですけど、まぁとりあえずきっかけから話しますか。


あれは20歳のころの話です。


この時代の話の導入って私のnoteをご覧いただいている方だと察しが付いているかもしれませんが、例の大阪の彼女です。


ファッション大好き、雰囲気いいもの大好き、だからメンズノンノ読んで勉強してくれ!っていう、まぁ今の私にはちょっと合わないような方とお付き合いをしていて、基本的な行動動機が全てそこに帰結するものですから、私もそこに合わせることになります。




良くも悪くも当時の恋愛ってお互いのことがアクセサリーみたいなところがあるので、「誰に見られても恥ずかしくないように」とか「尊敬されるような人になって」みたいなことを言われるんですよ。


「だったら最初からそういう人と付き合えばいいのに」

っていう言葉を今言おうとしたあなた!これ禁句ですからね。これを言って本当にひどい目に遭いましたから当時。


ベースは私。そして、雰囲気の良さを身に付けるという魔改造を彼女はしたいんですね。しかも、自分の趣味に全て合致させるという改造ですから、ある意味これは整形手術みたいなもんです。


この魔改造が最初は雰囲気の良い映画を観るとか、メンズノンノとかその辺だったんですけど、徐々にこの要求が大胆になってきます。付き合いが長くなってくると、思ったような成長曲線を描けなかった私に業を煮やして、テコ入れを図る訳です。


これ、どこのプロジェクトマネージャーだよ?って思いますが、私はマネジメントされている立場ということです。


そこで、テコ入れの一環として彼女が目を付けたのが「雑誌に出る」ということでした。


最初に言われた時は訳が分かりませんでした。
そんな発想もないし、出る方法も分かりません。
原宿をぶらつけとでも言うのかと不安になりました。


ただ、どうやらこちらからモデル希望として応募すればいいという雑誌があるそうなんですよ。あ、これは楽でいいし、仮に落ちたらまぁ仕方ないで話が済むでしょうし、話が進めば彼女も満足してもらえる。


雑誌に出ることに対するビビりとか、周りの目とかそういうのはどうなのよ?って思うかもしれませんが、こっちはこの彼女との関係性が大きいですから、感覚がバグっています。まるで気にならないんですよ。


ということで「彼女が私の情報を送る」というジャニーズ事務所に入った時みたいなエピソードだったのか、それとも自分で自薦したのかはちょっと覚えていないですけど、とりあえず雑誌「キラリ!」編集部に私の個人情報は郵送されたのでした。


すると数日後。


iモードを搭載した、クジラのグラフィックが開くたびに登場する携帯電話に連絡がありました。


それが、ヘアモデルのオファーだったのです。


何しろ感覚がおかしくなっていて、彼女が喜べば私も幸せっていう主従関係になっているものですから、彼女の意に沿う結果が出たことに私は喜びました。当然彼女も喜んでいました。


この「キラリ!」という雑誌ですが、今は存在するかは分かりませんが、私が当時アルバイトをしていたセブンイレブン登戸東店でも毎月取り扱っているようなものでした。まぁまぁ知名度もあったのです。


若者の奔放な生態とファッションを取り扱った「ポパイ」と「ファインボーイズ」を足して3で割ったような感じの雑誌で、何故かガングロギャル雑誌「egg」の隣辺りに陳列されることが多かったように記憶しています。


そんな「キラリ!」に読者モデルだかカットモデルだか名称はよく分かりませんが、ヘアモデルとして出演することになった20歳になりたての頃の私。


指定された原宿のヘアサロンに向かいます。


当時はカリスマ美容師ブームとかあった直後で、高校を卒業した「何もやりたいこと見いだせなかったけど、そのまま就職はしづらい、大学にも行きたくない系」の若者が美容師の専門学校にこぞって通っていた時代です。


ですから、結構な人気のそのサロンはとにかく活気がありました。


で、その美容室の恐らくトップの美容師の方に私は切ってもらうことになりました。サロンの名前は忘れましたが、その方の名前が「ウォーリー」さんということだけは覚えています。美容師も芸名を名乗る時代だったんですかね。


高校を卒業したての頃は金城武気取りの長髪でしたが、その頃はもう短髪だったもので、割と伸びてはいましたが、その範囲で切ってもらうことになります。


完成図が共有されないまま、カットは進行していきます。


雑誌のヘアモデルのオーダーということもあり、活気のある店内で私を取り囲んでウォーリーさんが切り進める中、見習いなのか割と有能なのかは分からないのですがアシスタントと「キラリ!」の編集者に取り囲まれながら作業が進みます。


カットは割とすぐに終わりましたが、次は短髪の私にパーマを当てるようです。この長さでパーマとかやるんだ。


何しろ完成図がよく分からないもので、為すがままの私は取り囲まれたアシスタントとウォーリーさんに円の筒状の例のやつを大量に付けられることになります。


ああ、このまま頭にバカでかいバケツみたいなやつを当てて、そこから足組みながら雑誌読むみたいな流れなのかな?と思ったらそういうやつは当てないままパーマが馴染むのを待ちます。


その時私は異変に気付きました。
なんかこれ、おでこがやたら痛くねえか?


恐らく短髪のパーマですから、かなり強烈なやつだったと思うんです。このパーマ液が待っている最中に私のおでこに垂れてくるんですよね。で、それを見越してウォーリーさんもあぶらとり紙みたいなやつを元々額に置いて武装はしていたんですけど、吸いきれなかったんでしょうね。


気づいた時には手遅れでした。
痛いぞこれは。
しかも薬品系のやつですから、沁みるんですよ。


もう後半は拷問でした。


ただ、こっちも「キラリ!」を代表して来ているヘアモデル:西尾克洋ですから、泣き言を言っていられない訳です。痛いのは間違いないんですけど、途中でこのヘアメイクを終わらせるわけにはいかないので、とにかく耐えます。


しかし、運が悪いときは重なるものです。
パーマが終わると、今度はカラーリングです。


「アッシュ系」という直訳すると「化石系」ということになる訳ですが、何がどうアッシュなのか化石なのかよく分からない色を入れられることになるそうです。


こっちの願いはただ一つでした。
どんな色でもいいから、さっさと終わらせてくれ。


おでこの痛みは加速度的に進みます。
太ももをつねりながら、痛みに耐えます。
なんだよこの空間。


カリスマ美容師に髪切られながら、アシスタントと編集部がしげしげと眺める最中、おでこのかぶれに身悶えしつつ足をつねって頑張る私。


もうめちゃくちゃです。


また頭に来ることに、この「アッシュ系」っていう色を入れるのがまた時間かかるですよ。普通の茶色と何がどう違うのかよく分かんないんですけど、とにかく待ち時間が長いんです。


もう、つねる場所ねえよ。
太ももはつねりすぎてボロボロです。
勿論、額はそれ以上にボロボロです。


サロンに入ったのは13時でしたが、確か全て終わったのは18時頃だったと記憶しています。どんな大手術だよって話ですけど、とにかく終わりました。


そして、撮影です。


顔が硬いとか言われるわけです。
そりゃそうだよ。


こんなに待たされた挙句、おでこも太もももボロボロで、しかもこっちは初めてのカットモデルだか読者モデルだかなんだかわかんないけどとりあえず来ていて、5時間かけて切ってもらって、疲労困憊なわけです。


でもどうにか顎を引いて。
口角を上げて。


20歳の頃の私は頑張りました。
いや、この日の自分はよく頑張ったと思います。


そして1か月後。
私の登場する「キラリ!」は発売されました。


当時の雑誌の求心力って凄かったんですよ。大学の同級生もあれ出てたね!と声を掛けますし、セブンイレブンのお客さんにも何度か言われました。


そんなにみんなあのエロ雑誌とファッション誌の中間地点みたいな雑誌読むんだと、私は不思議に思いましたが、鹿児島の祖父母すら購入していたので結構なものだったんですよ。


彼女も1か月くらいは優しかった覚えがあります。これはまぁ良かったと思いました。とりあえず一定期間新たな魔改造計画は進行しなかったのですから。


ただ。
このヘアスタイルになってから会う人全員に言われたことがあります。




おでこ、大丈夫?




日を追うごとにかぶれる私のおでこは、髪型よりもはるかに目立ってしまったのです。


何しろ真っ赤でした。


この後の写真をご覧いただければわかりますが、カット直後ですら、額の左右は既に変色しているのです。恐らく額があれほど痛かったのは、生涯でもあの時だけだったと思います。


これからパーマを掛ける方は、パーマ液がおでこに掛かったらすぐに美容師さんにお声掛けください。せっかくのヘアメイクが台無しになりますから…。


5時間の成果。誰かは分からないが誰かに似てる


■Voicyに11/17放送をアップしました。

https://voicy.jp/channel/3303/419985

今日は初めて相撲ネタをVoicyで上げました。

noteは相撲封印していますけど、こういう環境だったら相撲について話すのもアリですね。力士とマネーという、誰もが興味ある話を選んでみました。

是非お聴きください!

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