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ウズベキスタンと資本主義①

アッサロームアライクム。こんにちは、オカです。

ウズベキスタンは2016年に大統領が変わって以降、国の方向性が大きく変わってきています。変わったこと自体が意外だったのですが。その話はまた別の機会にでも。

国がどう変わってきているのかというと、前大統領時代は閉鎖的だったのが180度変わり、観光ビザの緩和、外資の参入など、どんどんオープンになってきています。

H.I.S.ホテルホールディングス、タシケントにホテル建設へ(2019年11月01日 ジェトロ)

特に自分は2010年~2012年、現地で暮らし、その後も2014年以降、毎年2週間遊びに帰っているので、2016年以前とそれ以後の変化を強く感じます。都心部の変化が大きいのですが、地方でも少しずつ変わっていています。

その辺りのことをよく講演では話すのですが、noteにも書こうかなぁと思っていました。そんな時に、Twitterで驚きのニュースが飛び込んできたんです。

「ウズベキスタンが70年に渡る綿花生産の強制労働を解体」

ウズベキスタンは世界有数の綿花生産国なのですが、その生産はいわゆる強制労働によって成り立ってきました。具体的には各州、その先に各市町村、そして各学校(区)に「割当」があるのです。あなたの「州」「市町村」「学校(区)」で綿を「~t㌧」収穫しなさい、といったものです。

今回、その「割当」を撤廃するというニュースが出されたのです。

オカも活動当時、強制労働の話や児童労働の現場を見聞きしました。まぁ、現場は遠足くらいのノリなのですが笑

9月中旬くらいから11月中旬くらいまでが綿(花)の収穫時期で、その間、小学校5年生以上は授業が(ほぼ)なく、収穫作業に当てられます(オカの後任の隊員が活動する頃には児童労働はなくなったらしいです)。

朝、校舎前に集まった子どもたち(5年~中3)はバスに乗り込んで(詰め込められて?)綿花畑まで移動します。

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畑に到着すると収穫開始です。「1㎏当たり〇〇スム」という感じでお駄賃がもらえるので、ゴリゴリに摘みまくる子もいます。

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綿花ってこんな感じです。真ん中がつぼみ、左が花で、その後、右の様に綿になる。

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その綿を摘みまくり、

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摘みまくり、

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(この子たち今も帰国すると会ってます。今はもう二十歳超えてます。)

オカも摘みまくり、

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そして計測、

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「よくやった!」

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となる訳です。

とまぁ、写真で紹介すると楽しそうなんですけどね。楽しくないですよね。綿摘むのね、手痛いんです。で、永遠と綿摘むだけですからね。午前、綿摘んで、昼食を挟んで、午後も綿摘んで、という日が3ヶ月くらい続くんです。小遣い稼ぎを割り切ってる子はまだええとしても。

実際、色んな場面を目にしました。やっぱり、小学生年代くらいは"何となくこんなもん"て感じで違和感感じにくいけど、中学生年代にもなるとそうもいかんわけで。バスが出発する時間になってトイレに隠れる中三男子たちがいたり。家庭によってはこの時期は子を学校に(綿摘みに)行かせないということも聞きました。

まだ小中学生年代(ウズベクは当時、日本で言う小1~中3までが同じ学校で学ぶ)はましで、高校生、大学生に対してはより強制力が強かったです。泊り込みで綿摘みをさせられ、ノルマもあり、免除してもらうにはお金を納めないといけないという様な状況でした。要するに、お金持ちでないと、綿摘みを逃れられない。

学校(小1~中3)で言うと、児童労働が終わった後も、職員の動員は続いていたらしいです。「割当」は終わっていないのですから、誰かが摘まないといけないので、そうなりますよね。

世界有数の綿花栽培(国の重要な産業)を支える強制労働が終わる日が来るなんて、2010年のオカは思っていもいなかった訳です。それが「割当やめまーす」ていう決定がなされた訳です。どれほどの衝撃なのか、幾ばくか伝わりますでしょうか。

今回のニュースによると、今後は割当がなくなるだけでなく、綿以外の農産物を生産しても良いそうです。(ただ、農地の民営化はまだだそうです。要するに、多くの(全ての?)「土地」はまだ国が手放さないようですね。)

これは、市場(「いちば」も「しじょう」も)が大きく変わると思います。要するに、市場が市民に委ねられる度合が大きく変わる訳ですよね。より綿花に力を入れてもいい訳ですし、他の農産物に力を入れてもいい訳です。

ウズベキスタンの国土は日本と緯度は近いのですが、日本は右上にのびる国土に対して、ウズベキスタンは左上にのびています。地方によって、美味しく育てやすい農産物が当然違います。

今後、今回の「割当」廃止によって、各地方で地元の特産物により力を入れて、他の地方にその特産物を売り出す、もしくは、国外に売り出すという動きも出てくると思います。

そうなってくると、ある地域で大きな利益をあげる特産物が生まれ、そこに参入する人、そこに付随するビジネスに参入する人たちが集まり(移住し)、人口規模が大きくなれば、必然経済が活性化し、その地域でより大きなお金が回り始める、といったことも起きてくるでしょうね。

元々、ウズベキスタンは日本が定める「発展途上国」の上位にいたわけで、その国が今、「資本主義」を取り入れ、国内外でより大きなお金を動かし「資本主義国」へ変遷しようとしている。

そんな風に、思ったりする。

もう寝る。

Yahshi dam oling.

オヤスミ。



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