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バリカンポン(Balik Kampung)

今年の2月10日と11日は、中国正月、つまり旧正月です。
マレーシアの街は赤一色に染まり、中華系のマレーシア人にとっては、1年で最も重要なイベントの一つです。
この時期、多くの人々が里帰り(マレー語で「Balik Kampung」)や旅行に出かけるため、高速道路は大渋滞します。
以前は妻の実家があるジョホールバルに中国正月に帰省していましたが、渋滞に巻き込まれるのが常だったため、最近は少し早めに帰るようにしています。
今年もバリカンポンの時期がやってきました。

スイスイの高速

旧正月(春節)

中国正月は春節とも呼ばれ、中国暦において最も重要な行事で、
東南アジアや世界各地の中国文化圏でも祝われており、マレーシアでも、1日目と2日目が祝日となっています。
学校は通常は1週間ほどお休みですが、今年はこの数年のコロナの影響から、進級がずれ込んでいるため、1カ月の学校休みとなります。
企業も10日くらい休みになる会社もあります。
中華系の人だけではなく、国中の人々が里帰りするため、ハイウェイは大渋滞ですが、一方でクアラルンプールの街は信じられないぐらい静かになります。

リユニオンディナー

中国正月前の大晦日に、家族が一堂に会し、囲む食事は「リユニオンディナー」と呼ばれています。中華系の人々にとっては最も大切な瞬間。
縁起の良い伝統料理がテーブルに並び、レストランも家族で賑わいます。
特に注目されるのが、正月の7日目である「初七」に食べる「魚生(イーサン)」。これをリユニオンディナーで楽しむ家庭も増えていて、レストランでも特別パッケージで提供するところが多いです。
その内容は「刺身サラダ」と言ってもよく、人参、大根、キュウリ、レタスなどの野菜に、刺身(ほぼ鮭ですが)、揚げたビーフン、ポメロ、ライムなどのフルーツが加わり、ピーナッツやゴマ、ごま油で味付けされます。
日本のおせちと同じく、それぞれの食材には深い意味が込められています。

マレーシア・シンガポールの伝統的な中国正月料理「イーサン」

盛大な花火

日付が変わる頃には、打ち上げ花火を盛大に上げ、爆竹を鳴らします。
これには、爆竹で大きな音を出すことで悪霊を追い出し、新年の安全を願う意味があります。深夜遅くまで、といううか、明け方近くまで爆音や煙で町中が包まれます。爆竹からでた赤い巻紙は、片付けると縁起が悪いとされているため、自然になくなるまでそのまま放置されます。
以前住んでいたシンガポールでは、爆竹が禁止されていたため、カウントダウン花火のみでしたが、ここマレーシアでは、うるさいくらいに盛大に爆竹が打ち鳴らされて、元気がでますよ!

賑やかな大晦日
やはりこれがなくちゃあ

中国正月には何をするの?

中国正月になると、多くの家では、玄関を春聯(しゅんれん)と呼ばれる赤い色をした縁起の良い貼り紙で飾ります。これを、繁栄を象徴すると言われるオレンジ(金柑)の木に赤や金で装飾します。
また、「福」と書かれた正方形の赤い紙を、家の玄関に、逆さまにして貼ります。これは「福がすでに訪れた」ということを表しています。

子供たちには、「紅包(アンパオ)」と呼ばれる、いわゆる「お年玉袋」にお金を入れて配ります。
さらに、みかん(マンダリンオレンジ)を贈る習慣もあります。
これは、みかんを表す中国語の発音が、「吉」を表す中国語の発音と似ているからとされていて、縁起を担ぎます。
このような古くからの風習が、家々を幸せで満たし、新しい年への希望と喜びをもたらします。

縁起のいい色

ライオンダンス

獅子舞だ

ライオンダンスは、日本の獅子舞と同じように、魔除けや疫病を退治する意味があります。
太鼓やシンバルで大きな音を出して披露される舞は、とても迫力に満ちていて、神々しさを感じます。
初仕事の日には、会社やお店、ショッピングモールなどの発展や、厄払いの願いを込めて、オフィスの前やお店の前、また自宅の前で、ライオンダンスが行われます。

日本の静かなお正月の過ごし方とはまったく違ったマレーシアの中国正月の祝い方。
国全体が華やかな雰囲気に包まれ、楽しい時間を感じることができます。
身も心も引き締まる神聖な時間が流れます。

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