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35.7℃

出勤後、まず額に体温計をかざす。
いつの間にかそれが当たり前になった。

ピッ。

無機質な音とともに液晶に表示される数字はいつも、少し私を憂鬱にする。



「35.7℃」

今日も相変わらず低体温で。
心の中でそんな自虐をつぶやくことすら日課になってしまった。

この数字がこんなにも私を憂鬱にするのは、
人よりほんの少し低めの体温が
なんだか「私そのもの」を表しているような気がするから。



「子どもらしくない」
「面白くない」
「テンション低い」
「冷たい」

昔からよくそんなことを言われてきた。
毎朝、液晶に数字が表示される度にそのときの何とも言えない空気感を思い出してしまう。



けど、毎日毎日、
変わることなく表示されるその数字は、

やっぱり「私そのもの」だ。

人よりほんの少し低めの体温で、今日も私は生きている。
人よりほんの少し低めのテンションで、

やっぱり今日も私は生きている。

うん、それでいいか。
だって、それしかないんだから。

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