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戸締り

(約1,000文字)

ちょっと前のこと、夜、7時頃。

夫の帰宅と勘違いしドアを開けたところ、訪問販売の人だった。

丁寧にお断りをしたのだが、その人物の去り際に見せた態度に不安を覚えた。
さまざまな事情があるのだろう、とは思ったが、、、


それ以降、必ずモニターで確認し、いつも以上に戸締りにも気をつけるようになった。


そして、数日前。

朝からバタバタとしていた。
(いつもです)

夫と子供が「行ってきます」と玄関から出ていった。

私はとっ散らかった部屋を片付け、洗濯機を回しはじめた。

そして仕事を始める前に、一大決心をし、
洗濯機のホース辺りを掃除することにした。

前からやらねば!と思っていたのだが、、、

ホースが横たわるタオルの棚と洗濯機の間は、幅がとっても狭い

奥の方は手が届かないのでついつい放置していたが、埃が看過できないレベルまで積もっている事実に、私は苛まれていた。
(ただ、掃除すればよいだけの話です)

もういい加減、ヤバイ!



決心がついたこの瞬間を逃すと、永遠にやらなそうな気がした。

掃除機のノズルで吸い込むより、アルコールで湿したペーパーをお掃除スティック(割りばし)に装着し、ふき取ることにした。

時間はかかるが、細かくとれる。
どうせ掃除するなら、ちゃんとやっておこう。
(滅多にやらないから)

グルグル、ガタガタ回る洗濯機の横で、コシコシと狭い奥までお掃除スティックを差し込んで掃除を始めた。


そして、ふと、気になった。首をめぐらすと玄関の方を見る。

大丈夫。
ちゃんと鍵は掛かっている。

夫と子供が出かけた後、しっかりと掛けておいたのだ。

そして、再びお掃除に戻ったのだが、、、



突然、

ガタガタッ!!ガンッ、ガンッ!



え、何!?

ぎょっと玄関を見た。

玄関ドアのスリットガラスに、黒い影が!

一瞬、息が止まる。


誰!!

何!!


誰かが、ドアを開けようとしている!



怖かった。

、、、しかし、鍵は掛かっている。


そうっと音をたてないよう、ドアに近づいてみた。

変わらず、ドアの向こうの人物はガタガタやっている。

耳を澄ませていると、何か言葉も発していた。


ん?
うちの子?
忘れ物?

我が子の名前を呼んでみた。

すると

「妻さん、僕です!」



あ”!?



夫だった。



鍵を開けながら、

「何?どうしたの?」

と聞くと、鍵、PASMO、財布一式を忘れたとのこと。

駅に着いてから引き返したそうな。

インターフォンを鳴らしたらしいが、あいにくグルグル回る洗濯機の真横にいたので、とんと気が付かなかったのだ。


ホッとはしたのだが、、、

びびらせんでくれ~


戸締りに加え、夫の忘れ物チェックという項目が増えたのだった。













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