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寄せる波が足跡を消しても、弥立ちは消えず

私は泳げないし、マリンスポーツも興味がないし、何なら魚の匂いも苦手なのだが、海は何時間でも眺めていられる。

20年以上前、10歳以上歳上のおねえさんな友人と2人で、もう日も暮れる鎌倉の海岸に座って、しばらく話をした。普段は会社の近くで何人かで飲むような知り合いだったので、なぜ休日に2人で鎌倉なんかに行ったのか、全く思い出せない。

ただ今になっても、こうして1人海岸に立つと、あの時のこと思い出す。年の離れた私のことをかわいがってくれた、おねえさん。

あの頃のように、私も誰かのそばに寄り添えるような”おねえさん”に、なれてるんだろうか。

島根の日御碕灯台から眺める日本海、三重県串本町の樫野崎灯台から、または宮崎県日南市の宮浦ビーチから眺める太平洋。
霞む島影もなく、地球はやっぱり丸いんだ、なんて思ってみたり。

そして幾重にも折り重なり泡立つ波を見ていると、やはり私も、大切な人に寄り添える”おねえさん”になろう、弥立つのだった。



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