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街に出かける妄想旅行

駆け出しのライターとして出会ったメンバーたちが、毎回特定のテーマに沿って好きなように書いていく「日刊かきあつめ」です。

今回のテーマは「#妄想旅行」です。

そういえば、あまり旅行に行かない。昔は旅行好きだった気がするけれど、いつの間にか行かなくなった。連休の度に旅行に出かけている友人をInstagramで見かけると「元気だなあ」なんて思う。

旅行はしなくても外に出て、街をブラブラするのは好きで、見かけた旅行者について想像を膨らますのも楽しい。


この前も、渋谷駅発の銀座線に乗っていると、欧州から旅行に来ているのであろう家族(夫婦と息子の3人)が、Nintendo TOKYOの買い物袋を両手に抱えて乗ってきた。
父親が明るいのが印象的で、短パン色白で、足の長いナイスガイだった。シートに座ると、父親が袋から一斗缶くらいの大きさの箱を取り出して、息子に向けて満面の笑みで話しかけている。どうやら1/○スケールのフィギュアらしく、よくわからないけど、引き気味の息子を尻目に興奮している父親が愛らしかった。

きっと銀座線に乗っているということは、これから銀座に向かうのだろうか。いや、この荷物を抱えたまま銀座に向かうのは考えにくい。となると、一旦ホテルに戻るのだろうか。なんとなく赤坂ら辺でホテルを取ってそう。
そして荷物を置いた後は、夕暮れに染まる東京タワーを見に行く気がする。


そんなことを考えながら、僕は表参道駅で降りて地上に出て、交差点で信号が変わるのを待つ。

すると、背後から5.6人の高校生がわらわらっと道路のギリギリまで出てきて、反対側に向かって大きく手を振っている。
反対側を見ると同じ制服を着た高校生がこちらに向かって手を振っている。どうやら彼らは同じ高校で、東京に修学旅行に来ているらしかった。お互いに大声で話しているが車が多く聞こえないのだろう、全身を使ってジェスチャーでやり取りをしている。

こちら側の集団はこれから明治神宮方面に向かうようだ。表参道が有名だから来たけれど何もない、みたいなことも言っている。

もう片方の集団は、明治神宮を左側にして右の方面を指さしている。
「あっちの方向って何があったっけ・・・?」と考えているうちに信号が変わる。高校生の集団は交わることなく、それぞれが目指す方向へ駆けていった。

明治神宮と反対方面・・・六本木の方だと思うが、修学旅行で行くようなところがあっただろうか。
美術館はいくつかある。国立新美術館や根津美術館、岡本太郎記念館は高校生の頃に知っていたら行きたかった。もしくは歴史学習の一環、と考えれば乃木神社に行ったのかもしれない。


と、こんな感じで想像をしながら街を歩くと楽しい。
たまたま渋谷周辺は旅行者が多いのもあるかもしれない。それでも「なぜこの人はココまで来たのだろう?」と想像することで、自分がいる街を旅行している気になれる。そうするとたまに、街の知らなかった魅力を知ることもある。

Instagramに載せられるような絵面はないけど、十分楽しい妄想旅行である。

文章:真央
編集:べみん

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