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昨日と今日が溶け合う中で頭を抱えて生きる

駆け出しのライターとして出会ったメンバーたちが、毎回特定のテーマに沿って好きなように書いていく「日刊かきあつめ」です。

今回のテーマは「#やめたい瞬間」です。

金曜日の夜。1週間の仕事が終わって自宅へと向かう。

今週は特に疲れた。月曜日の時は思ってもみなかった仕事の依頼が次々と、しかも今週中の〆切でやってくる。難易度が高い仕事よりも、急な仕事の方がストレスが溜まりやすい気がするのだが、これは自分だけだろうか。もしみんなが同じ考えなら、急な仕事って誰しもが嫌な仕事だからこの世から無くなりませんかね?だってみんな嫌ですもんね?こうやって足の引っ張り合いをするのが社会ですかそうですか

と、ワケの分からない文章を脳内で書き連ねながら、朝とは違うじっとりとした空気が漂う電車に揺られ、自宅のある街まで戻っていく。こんなことをウダウダ考えていると仕事をやめたくなる・・・

ことはない。なんだかんだ仕事は楽しい。

***

時間は22時。これから最寄り駅について夕飯を食べようにも、この時間ではラストオーダーは終わっている。今から家に帰って作る元気はないし、第一その前にスーパーに行かなくてはいけない。コンビニ弁当にも飽きた。

そんなことを考えているうちに自宅についた。荷物を降ろし、ソファに腰を下ろす。・・・疲れたけど、遅くまでやってる居酒屋でごはん食べるか。

ササっと着替えて帽子を被り、少し離れた顔なじみのお店に行く。遅い時間なのにやけに賑わっている。今日が金曜日だからだろうか。

直ぐに出そうなメニュー2.3個と生ビールを頼む。ビールを持ってきてくれた店主が既に酔っぱらっているのが分かった。

こんな時間に酔っているなんて珍しい、と思ったら、どうやら昨日お孫さんができたらしい。それで常連さんたちのお祝い酒を貰っているようだ。場の空気にあてられ、しかもお世話になっているお店のお祝いとあっては何もせずにはいられない。
「店主、自分からも何か好きなのをどうぞー」とつい空気に飲まれて言ってしまうのをやめたい・・・

ことはない。なんだかんだお祝いは楽しい。

***

ご飯を食べたら帰ろうと思っていた。

しかしお祝いのお酒を断れ切れず、気が付いたらお店は閉店時間になり、みなの勢い留まらず、あれよあれよ2軒目、3軒目・・・

ようやく解放されて、4軒目はひとりでバーにいた。すぐに帰ればいいものを。しかしようやく一人でゆっくり落ち着ける時間。時計を見ると5時を回っていた。

さすがにそろそろ帰るかと、お会計をすまし千鳥足で自宅に向かう。外に出ると遠くの空が明るくなり始めている。透き通った空気の先にもうすぐ先まで明日が来ている。駅前を通ると、駅に向かってスタスタと歩いてくる男性と目が合った。彼からしたら、すでに今日か。

自宅に帰り、ソファに倒れこむ。今から自分が寝るのは、今日なのか明日なのか。寝て起きたらそれは今日なのか明日なのか・・・

ハッと目が覚める。あれ今なんz・・・痛い、頭が猛烈に痛い。今が何時とか今日とか明日とか関係ない。いま生きているこの瞬間に、猛烈に頭が痛い!!!!!

人生で何度でも訪れる酒をやめたい瞬間である。

文章:真央
返信:べみん

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