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教育との出会い

※書籍『子育てを最高の宝物に』
第4章 <わたし〜点と線〜> より抜粋(十数回に分けて公開中)


映像制作に転向して2・3年した後、東京から大阪に帰ってきて2年ほどはフリーランスの仕事をしていましたが、諸事情により就職することにしました。

その時に就職したのが関西の大手進学塾でした。
「授業映像」と呼ばれる生徒が予習や復讐をするために自宅で学習するための動画です。

反転授業というシステムで、授業前に生徒が自宅で予習動画を見て先に基礎を学び、塾では基礎をすでに勉強している状態で授業をするので、通常の授業よりも応用にかける時間を確保できる、というものです。

そしてまた家庭では復習や宿題をするというものです。
(勉強のし過ぎには気をつけましょうね!)

他にはPR用動画や社内外向けの動画制作です。
チームで制作していて、年間大体700〜800本程は撮影してたと思います。この進学塾で6年ほど働いていました。
クリエイティブな仕事ではありませんでしたが、この企業に入って初めて「教育」というもと向き合い始めました。

進学塾に入ってみてから感じたことは、やっぱり日本の一般企業とかなり似ていると感じました。
教師職なので、子供たちに対する熱量は高いと思うのですが、個人差は当然あります。




どんな企業でも、長年働いていると身に付くのかもしれません。

「仕事に対する慣れ」や「感情の鈍化」みたいなものを、教職員から感じるようになりました。

全員ではありませんが、一つ一つの仕事が流れ作業的で「意味」を理解して取り組んでいる人が少ないとも感じました。

「もっとこうしたほうがいいですねよね」と、僕がある先生に提案しても「それはうちではどうもねえ」と、歯切れの悪い言葉が帰ってくることもありました。

教職員の仕事(授業や生徒対応)を見ていてなんとも言えない違和感を感じていました。
マニュアル的と言うか、フォーマット通りに仕事をこなしているている印象です。




ある時、プロモーション用動画の撮影で校舎に行きました。
子供たちの授業の様子を撮影するというものです。

その撮影の休憩中に受付の方から怒鳴り声が聞こえてきました。

教師が生徒を叱責していました。

後で聞いた話ですが、叱責している理由は生徒が無断で教室を抜け出そうとしていたところを教師がたまたま見つけたそうです。

その塾の規則では、授業の休憩中であっても外へ出て行く行為は基本禁止で、教室を出るときは教師に理由を言ってから出ていくという規則があります。

しかしその生徒は無断で出ようとしたらしく、それを見つけた教師が怒鳴っていて、フロア中に響き渡るほどの怒鳴り声を聞いて、最初は何事かと思い、その様子を少し離れたところからじっと見ていました。

その2人を見ていると、いろんなことが頭をよぎりました。

生徒は今、どんな気持ちなんだろう
教師は怒鳴ることで、この子に何をさせたいんだろう
教師の役割ってなんだろう
教育ってそもそも何だろう
子供にとっていい学びってなんだろう


その光景を見ながらこんな疑問が頭の中で渦巻き始めました。
時間にして多分1分くらいだと思います。

2人を遠巻きに凝視しながらすぐに答えの出せない疑問が頭を覆い、一瞬時間が止まってしまったような感覚でした。

今思い返すと、その時に感じた違和感や疑問はおそらく、過去に自分が受けたいじめが忘れず頭の片隅にあって、

【叱責している教師と顔を下に向けている生徒】

という様子が、過去に受けたいじめと紐づいたのかもしれません。

小中学生時代にクラスメイトには無視され、発言すれば笑われ、物を隠され、休憩から帰ってきたら机がひっくり返っている。
通りすがりに殴られる。

授業中に問題の答えを発言して間違えた時はクラス中がクスクス笑い、先生も同調するように笑いをこらえている姿をまだ覚えています。
(あ、もう過去の話なので恨んでません!ホントに!)

だから学習塾の校舎内で起きた出来事が他人事ではなく、自分ごとのように感じ、仕事のことを忘れてとにかく答えの出ない問題が頭の中を走り抜けました。



これがきっかけで【教育】というものが自分にとって比重の大きなテーマになりました。

この時は確か35歳くらいだったと思います。

いじめを受けていた時はよく「どうしてそんなことをするんだろう」「なぜ?」という疑問をなかば強制的に思わされていた気がします。

解決しない疑問は高校に進学した後も社会人になった後も答えは出ないまま自分と折り合いをつけて曖昧にしたまま生きていたんだと思います。

それが、この時の叱責する教師とうつむく生徒の姿をみて、過去の自分と重なり、なぜ、なぜ、なぜと、自問自答が始まりました。

でもこの出来事がきっかけで、

教育とはそもそも何なのか
過去の教育の変遷やこれからの時代に必要な教育とは何か
子供にとって学びとは何か
成長とは何なのか


そんなことを考え始めました。

そして僕なりに行き着いたのが、母親の存在でした。




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