いい女はタイ料理が好きだと思ったはなし

わたしはタイ料理があんまり好きではない。
タイ料理が、というか異国の料理の、
あのちょっとクセ強めな感じ。
あまり得意じゃない。

インドカレーは大好きだけど、
ラッシーはちょっと。

ガパオライスは暇があれば食べたいくらいなのにトムヤムクンは無理、など。

単に酸っぱいものが不得手なだけなのだろうか。

味覚の許容範囲が謎過ぎるし、
お腹が痛くなる時もある。
それでもわたしは異国の料理に
度々果敢に挑んでいる。
今回はいけるんじゃないか、
今度こそ好きになれるんじゃないか、と。

その理由として
これといった根拠はないけれど
「いい女はタイ料理が好き」
という、これまた反感を買いそうな
しょうもないド偏見が
私の中にずっとあるからなのだ。
分かる人、いる?

私が初めてタイ料理を食べたときに思ったこと。料理に添えてあるソース、
これがとりあえず全部酸っぱい。
あ、これは酸っぱくない、イケる!
なんて思っていたらその代わりに
めちゃくちゃ辛かったりする。
それに加えて店内にぷわんと漂う
ナンプラーの香り。うーん…。

日本食に慣れきった私にとって、
その空間や味は、強烈で刺激的過ぎて
正直ちょっと苦手かも、と。

それと同時に
この料理を愛している人達はスゴイ、
とも思った。
これは皮肉とかそういうのではなく、
この刺激的で異国の香りがする料理を
食べたくてたまらない衝動に日々
駆られている人たちに対して、
尊敬と憧れに近い感情を覚えたのだ。
私には無い感覚だから。

実際私の愛してやまない友人たちの中で、
タイ料理大好き!という人は多い。

私は女友達の方が多いタチであるし、
今回は私の経験に基づいた、
非常に限定的な偏見話なので、
女性に限られてしまうのだけれど。

タイ料理を愛する彼女たちに共通していること、
それは周りの目や外からの圧力に流されない、
自分の芯を強く持って生きている
ということ。

ちょっとやそっとのことではブレない
彼女たちの生き様は、美しい。
いつも何かとブレ気味の私からすると
見ていてとても勇気をもらえる。
私も頑張らなきゃな、と。

これは
「タイ料理が好きじゃないと、いい女ではない」という話ではない。
ただ、彼女たちのブレない姿を
支えているその血肉は、もしかすると
タイ料理から形成されているんじゃないかと、
安直な私はそう思った。

もちろんそれだけではないことは
重々承知の上なのだけれど
少なからずあると思うのだ、
タイ料理の力が。

そう思うと、タイ料理屋で
食事をしている見知らぬ女性たちが
なんだかカッコ良く見えてくる。
ランチタイムの店内、
トムヤムクンや生春巻きを美味しそうに
頬張る女性たちを見て、
「ああこの人もきっと、自分のポリシーを持って
今日を強く生きているのだろうか」と。

そんなことを考えながら
私はまた、飽きもせず苦手なタイ料理に
チャレンジしている。

やるべきことは他にもたくさんある。
けれど私は何事も形から入るタイプ。
酸っぱくて辛い、この料理を美味しいと
そう思える日が来たなら
それは私が強くて美しい、
ブレない女性に近づけた時なのだと
半分本気で信じている。

味はどうにもしっくりこない。
なのになぜか惹かれるタイ料理。
タイ料理が好き、という私の友人たちは確実に
人としての魅力に溢れている人ばかりだ。

そんな友人たちに憧れて、
これまた特に不得手なトムヤムクンを
愛してやまない彼女たちと食べに行く、

そんな明日は、
今日をブレずに生きる自信を
ちょっぴり持てたような気持ちになる。


思い込みかもしれないけれど。
向上心のきっかけは
なんだっていいと思っているから。

いいじゃない、
そういうタイ料理の楽しみ方があっても。





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