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潜れ!!モグリール治療院

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あんまり出てこない職業ばっかりの冒険者たちの小説です。なるべく変な職業を出します。
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記事一覧

竜と六畳間

「起きて半畳、寝て一畳、だけども商売は繁盛していたい!」 そう語ったのは家具職人の祖父で…

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小説「会いたい喋りたい捕食したい」

毎朝同じように鏡の前で顔を洗い、口に水を含んでぶくぶくと液体を流動させて吐き出し、歯を磨…

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小説「潜れ!!モグリール治療院~第17話 1年は365日で1日に飯は3回だ~」

なんでなのか知らないけど、昔から人間は水辺の近くに住むと決まっているんだって。川の近くと…

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小説「潜れ!!モグリール治療院~第16話 俗にいう〇〇しないと出られない部屋~」

うだるような蒸し暑さの中で膝までつかりそうな泥濘を歩いていると、ぽつんと1軒の家があった…

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小説「潜れ!!モグリール治療院~第15話 天使の分け前、悪魔の取り分、残りは全部私…

冒険の途中で出会って嬉しいものは色々あるけど、どれが一番嬉しいかといえば間違いなく酒場だ…

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小説「潜れ!!モグリール治療院~第14話 大きくなったなあ~」

地獄のような暑さが好きな人はこの世にいないと思うけど、言うまでもなく私も暑いのが嫌いだ。…

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小説「潜れ!!モグリール治療院~第13話 もうお金だと脳がひりつかないんだよね~」

どいつもこいつも善は急げという、ならば悪はこそこそ遠回りだ。 冒険者ギルドの大規模行軍の列を見送りながら、モグリールは皮肉っぽくそんな言葉を口にした。 非合法の闇医者で、自分で治療して借金漬けにした患者たちを組み込んだ輸送隊を率いる、いまいち信用ならない悪党、それがモグリール。私は彼の申し出を受けて、同行という形で一緒に冒険することにした。 断る理由はいっぱいあるけど、受けてもいいと思える理由もある。 例えば同行者は彼だけではない。戦闘自慢のウォードッグス、裏社会での影響力

小説「潜れ!!モグリール治療院~第12話 馬鹿じゃないもん最強だもん~」

冒険者は社会不適合者の集まりだ。 真面目にこつこつ働くことが出来ないとか、頭の螺子が外れ…

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小説「潜れ!!モグリール治療院~第11話 腕力、体力、破壊力、このみっつが大事~」

町に帰還した冒険者は血と泥を落とすために盛大に水を掛けられるわけだけど、冒険期間が長くな…

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小説「潜れ!!モグリール治療院~第10話 転生者ってみんな、ああなの?~」

背の高い樹木が生い茂り毒を持った虫や蛇、凶暴な肉食の獣が潜む過酷で凶悪な反面、遠目から眺…

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小説「潜れ!!モグリール治療院~第9話 カニカニカーニバルなのだ~」

冒険に挑む権利を持つのは人間だけではない。 荷物を運ぶ馬や牛はもちろんのこと、主と共に挑…

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小説「潜れ!!モグリール治療院~第8話 うるさいのはどっちかだけにして~」

酒池肉林は人類の夢だなんて昔から言われている。 その言葉には山のような黄金とか神をも凌ぐ…

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小説「潜れ!!モグリール治療院~第7話 このままここに住んじゃおう~」

生き物というものは大きくふたつにわけられる。 もふもふしている生き物とそうでない生き物が…

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小説「潜れ!!モグリール治療院~第6話 なにこれ、かわいい~」

強敵の討伐は冒険者の誉れだ。 町の入り口で盛大に水をぶっかけられて血と泥を落とし、珍しい素材を求める商人たちや冒険譚に期待を膨らませる子どもたちに迎えられ、冒険者ギルドではしのぎを削り合う冒険者たちから称賛や嫉妬を浴びせられる。さらに言葉の代わりに小銭が飛んだり、お酒を奢ったりもして、その戦果をみんなで祝い合う。 基本的に足を引っ張り合うことだけが得意な冒険者が、珍しく人間らしい顔を見せる瞬間のひとつだ。 私はつい先ほど、町の外に現われたネームド、荒れ狂う剛腕と対峙した。