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小豆と製あんノート

和菓子屋で10年の修行を経てお店が6周年になりました。

小豆にもいろんな種類あるんでしょうけど使ったことのある小豆で思うことなど書きたいと思います。

個人の見解ですのであしからず。

全て北海道産

黒豆も手亡豆も白小豆も同じところなんですけど、小豆も。

使ったことあるのがきたろまん、ゆめむらさき、今はエリモむらさきというやつです。

きたろまんは最初の方に使ってて、もっと大粒のやつないかな?と聞いたらゆめむらさきがあるからとそっちに変えて、他にも何かありますか?と聞くとエリモむらさきというのがあってこれはいいやつらしくて、今これになってます。

徐々にランク上がっていったのかな。

きたろまんもエリモむらさきも同じ普通小豆でスーパーで売ってるような感じのサイズの粒で、ゆめむらさきは大粒で大きいって見た目でわかるくらい。

大納言よりは小さいけど小豆よりは大きめ。

きたろまんとエリモむらさきの違いは使ってみた感じだとエリモむらさきは綺麗なむらさきの色あいになる、あと上品な感じかな。

ゆめむらさきは大粒で渋が少ないタイプでスッキリした味わい。

渋って大事

渋ってわりとこしあんでもつぶあんでも、後味がイガイガした感じになるのである程度抜くんですけど(渋きりといいます)渋を抜かずにそのまま砂糖入れて炊き上げると濃い小豆あんができます。

えぐみもそのままなので小豆!!って感じになって、最近はあっさりめが主流なのであまり好まれないかもしれません。

あんまり抜きすぎると今度は小豆どこいった?くらい味とか香りがなくなる。

なので私はこの中間をとるような形であんを炊いています。

つまりは渋を少しまた入れて炊き上げているんです。

たぶんあんこの基本としては渋きってなんぼみたいな感じだし、修行でもあん炊きはほぼ教えてもらえなかったのでこうしたほうがいいかな?と自分で考えてやってます。

なので他はわからないですし、せっかく渋きってるのに戻すとか何!?(笑)って言われるかもしれません。

こしあんの製あん

こしあんも自分で作ってるんですけど、つぶあんと同じように炊いて炊き上がったものを目の粗いザルで濾してさらにもっと細かい目のザルで2回濾すんです。

このザルで濾すときに小豆の皮以外を取り切りたいので水を流しながらやるんですけど(これをさらしといいます)この水の量も決めています。

一回水の量決めずにどんどんさらして炊き上げたら全く小豆の味しないものになってしまって色も薄くなって、ここで流れるのか!!と思って、このバケツいっぱい分とか決めて濾すようにしてます。それでなんとか香りと味が残った。

このさらしたあんを「さらしあん」といいます、こしあんの素ですね。

こしあんってこうやって皮を取り除くのでつぶあんとはちょっと違った味わいになるんですよね。中身だけってすごく贅沢な使い方。

ちなみに取り除いた皮は捨てます。贅沢でしょう?もう中身の美味しいとこだけ抜き取ったカラなので使い道ないんです。味もないし。

果物でもそうだけど皮と身の間にきっと旨みがあるから、身があるから皮も美味しく食べられるのであって、ただの皮だけは味も何もない。

だからこしあんってもっと高級なものとして扱われてもいいのにな…

ザルの細やかさ

ザルも細かいので濾して口当たりよくしてるんですけど、当然細かすぎるとまた変わってくるんですよ。

もう最高の口溶けになるんじゃないか!?と思って80目(目の細やかさの数字です、高いほど細かい)は水羊羹とかで使ってたりするとこあるかな?それでやってみたことあって。

あんこの粒子の大きさはわからないですが、なかなか濾せない。濾した後の残りカス(皮の部分とか)が多いし…またここに旨みをもっていかれてるのでは?と思ってたら…

炊いてみたらやっぱりなんか弱い味わいになってたけど口当たりは最高だった笑

私は白あんも小豆のこしあんも75目で濾してます。口当たりよい。

これがギリだなあと思って使っています。

もう少し下げても70とか65あたりでも大丈夫かなあ?と思うし、あまり変わらないかわからないくらいならその方がより小豆の味残せるかも?と思ってます。

まだやってないので分かりませんが…大福なので多少粗くても成立すると思うんですよ。練り切りとかああいうのには口当たりいいほうが美味しいです。

こういうのも使い分けていけたらなあと思うけど…でも今の口当たり気に入ってるからなあ。

研究してるのが楽しい

あんまりここまでやってるお菓子屋さんないです。

こんなことやってられないですから。量産もできないしで。

ほとんど機械で濾すし、機械ないとこは業者からさらしあん買ってこしあんにしてるし、それでもいいと思うんです。お店の規模もあるから。

うちはお店やる時も手で濾しますって言ったら笑われたくらいですから。今どき誰もやらない。

でもこうかな?ちがうかな?と研究してるのが楽しい。

まだまだ和菓子もあんこも可能性しかないな!!と思いながら今日も作っています。

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