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妊活|失くしたものと得たもの

原因不明の不妊で、不妊治療4年目のまみです。
今期は初めての体外受精に挑戦中。注射うったり服薬したり、とても辛いのだけれど、この体験をくりかえしてこられた先輩方がいると思って、一人じゃないと思ってやるしかない。
ほんとは大きな声で叫びたい。「つら~~~~~~い!」って。

妊活を始めて4年も経つと、気が付いたら、仲が良かった友人とも疎遠になっているし、支払った治療費も結構な額になっている。
更に言うと、物理的なものだけじゃなくて精神的にいろんなものをなくしてきたと思っている。今回は特に精神面での喪失について書いてみたい。

よく考えないと見えてこないが、この4年で得たものもわずかだけれどあるので、それもまとめておこうと思う。


【なくしたもの①】生物的な「女」としての自信

 これは感じている人が多いのではないだろうか。生理が来るたびに、診断名を告げられた際に「自分は欠陥品だ」というような思考が頭をよぎる。
 今まで女として生きてきて当たり前にできると思っていた「赤ちゃんを授かって産む」ということ。わたしにはその初めの「授かること」ができない。

 例えば乳がんの手術で胸を全摘出した人は「女としての大切なものをなくした」等と表現されるが、それに近いのではないかと思う。

目には見えないけれど、毎月の生理とともに「女」としてのアイデンティティを喪失しているのだ。不妊治療辛すぎる。

【なくしたもの②】「こうなりたい」という理想

  人それぞれ結婚するときに抱いているライフプランのイメージがあるだろう。何歳くらいで結婚して何歳くらいで子どもを産んで…。それらはすべて「こうありたい」という理想像である。

 人はそれぞれ「生殖物語」を持っているそうだ。子どもの時から作られたなんらかの家族の理想のことである。
 子どもの時のおままごとでお父さん役、お母さん役、子ども役などを決めたことがあるだろう。それらの経験から漠然とした家族のイメージが作られている。

 私は小学校低学年の時に自分の子どもの名前を考えていた。ませた子どもだったのかもしれない。小学校の時から「子どもを産むこと」「母になること」は私の中で理想としてあったのだと思う。当たり前すぎて意識していなかったけれど。

 マズローの欲求段階図では自己実現欲求は最上部に位置する。人間の欲求が完全に満たされるには、理想と現実の同一化を目指す=自己実現を果たすことが必要だとされている。

不妊治療においては「子どもを授かりたい」「母になりたい」という理想と現実のギャップに打ちのめされてしまうし、自分の無力さにも疲弊してしまう。

本当は理想の姿になりたいのに、自分の力だけでは自己実現を成しえないというのはとても大きな挫折である。

【得たもの①】「しょうがない」という諦め

 不妊治療4年目にしてようやくこのように思えるようになった。
わたしはわたしの人生しか歩めないのだ、しょうがない。

 先に言った「生殖物語」は書き換えることができる。自分の思考で。
 本当は30までに2人子どもが欲しかったけれど、今では40までに1人授かれたらいいなと思うようになったし、里親などの制度の利用も検討している。

 何事も、思うようにいかないときがあるのが人生である。なんとなく俯瞰して人生を見ることができる余裕ができたし、理想のプランを3つほど考えておくような含みを持たせた人生プランに変更できてきたように思う。

【得たもの②】仕事と生活のバランスへの考え方

 わたしはもともと「こうでなくちゃいけない」という考えが強かった。仕事も家事も100%でやりかった。そこに不妊治療がのしかかったときにはさすがにバランスを崩して、こころの不調で休職した。

 不妊治療で病院を休む時に仕事で迷惑をかけられないからと夜診の一番遅い時間に予約したり、病院に行く日が大事な仕事の日とかぶりませんようにと祈ったり、かぶってしまった日は上司に「すみません」とぺこぺこ謝ったり。そういう積み重ねで疲弊していったように思う。

 こんなに仕事を休んだら周りにどう思われるだろうとか、めいわくをかけちゃいけないとか、世間(同僚)の目を気にしすぎていた。

 けれど、今しかできないことってなんだろうと考えた時、不妊治療を優先する方が自然に思えた。

長い人生周りに迷惑をかける時があってもしょうがない。その代わり周りのヘルプにはちゃんとこたえるようにしようと切り替えた。

 今のわたしは仕事60%、不妊治療40%くらいの気持ちで働いている。
不妊治療はゴールが見えない。長く細く走れるように、自分の心と仕事を調整することが必要だと思う。


 なくしたものに対して、得たものは割り切る心の強さであって、調整取れていない気がする。まあ、それもしょうがないのかな。
 みなさんもどんなものをなくして、得たのか、いろんな人の体験を聞いてみたいな。

 ほんじゃ、またね~!

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