見出し画像

長女の話

長女が生まれたのは、14年前の今日。深夜の3時16分だった。
まだスマホが普及していない時期だったので、情報は書籍やパパママ学級などのイベントに参加して得るしかなかった。
そして私は、なんと無謀にも、ほとんど情報を持っていなかった。出産や子育てについて、初心者であるにも関わらず、直前まで仕事をしていたのだった。

そんな「覚悟」ができていない私は、見事に「聞いてないよ」という驚きの連続の育児生活で、すっかり疲労困憊。産後鬱のような状態になっていた。

今でも、この時期のことを思い返すと、長女に謝りたくなる。
私の準備不足、心構え不足により、キリキリとした育児をしてすまなかったねぇ…と、懺悔したい気持ちだ。

あんまり詳しく書けないけど(ひどすぎて)、泣くだけでため息がでたし、泣き止まないときは私も同じくらい大きな声で泣いたりしていた。
おかげで、近所の心優しい方が心配してくれて、たまにお料理のおすそ分けやら、絵本やらを持って様子を伺いに来てくれていた(虐待リスクアリと思われていたか…)

そんな心もキャパもペットボトルの蓋ほどの大きさの私は、子育てしたとは到底いえない。長女と一緒に人として成長させていただいたというほうが圧倒的に正しい。

早生まれのために、小学校低学年までは、体の大きさや発達具合を少し心配したことがあった。お友達にNoが言えなくて、家で悩んでいる姿を見て、どうやって主張できる子に育てるか悩んだこともある。

(私が一度も一緒にやらなかったからだけど)忘れ物は1,2年生では圧倒的にぶっちぎりで学年1位だった。他の子が1年かけても満杯にならない忘れ物表を、1学期で2枚使ったほどだ。

でも、そんなの全然問題なかった。
自分でやりたいことをしっかり決めて、取り組める子に育った。

長女は今、陸上部にのめりこんでいる。
中学に入ってから「体験入部したら一番、先輩と後輩の距離感が近かったから(縦社会ではなかった)」という理由で、なんとなく入ったのだが、フィットしていたみたいだ。

長女の所属している陸上部はなかなかにハードだ。
水曜以外はだいたい陸上部の練習か、記録会、大会がある。
朝練もあるので朝も早いと5時台に出発し、夜も20時くらいは普通で、遅いと22時になる。
それだけじゃない。毎日「作業」というものがあり、日誌(毎日の目標や練習内容を書く)と、大谷翔平選手もやっていたという中長期目標達成シートの「マンダラチャート」まで取り組んでいる。
おかげで、陸上部のメンバーは勉強も学年上位10%に入っている子が多い(上位10%だけ発表されるのです)。娘も、今まで毎学期成績優秀者として表彰されていた。

入学後に掲げた目標である東京選抜にも選ばれた。家族旅行にも3キロx2の重りを持って練習するくらいの努力の結果だ。

「よっぽど陸上が好きなのね」と言ったら「いや、どちらかというと、目標達成するのが楽しい」と言われて、「本当にこの子は私の子だろうか」と悩んでいる。

すっかり両親をはるかに超えた逸材に育っているので、私の長女の子育てはほぼ終わっている。あとは飯、金、ハグ(これは私がやりたいから)。

先日、珍しく陸上部の友人関係で悩んで、涙していた。
私はついつい口出ししたくなる気持ちを抑え、「嫌だったんだね」と寄り添って、抱きしめ続けた。

娘がまだ親の前で泣いてくれる限り、抱きしめられるように、私も健康に生きていなければと思った。

娘が今後どんな風に育とうとも、絶対彼女なら大丈夫。
例えば、反動で学校に行くのが嫌になったり、勉強しなくなったとしても、多分自分で自分の人生を生き抜く力を持っている。
私はそんな彼女の邪魔をしないように、そして疲れたり傷ついたりしたときに泣いたり吐き出したりできるように、寄り添って生きたいなと思っています。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?