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わたしのライティング・ライフvol.2/お手紙セラピー

53日目。

わたしが「書くことの魔法」をはっきりと感じたのは、お手紙を書くという体験を通してでした。

2016年から不妊治療をしていました。
一般的な治療の流れに沿って、タイミング法→人工授精→体外受精というステップを、転院をしながら、すすんでいました。
2017年秋、体外受精3回目で妊娠したのですが、流産しました。
肉体的にも精神的にもとても疲れていました。

ちょうどその頃、大好きな服部みれいさんが、「声のメルマガ 服部みれいのすきにいわせてッ」という、ラジオ風味の音声のメールマガジンを始められていて、ファンのわたしは、即申し込み、毎回配信を楽しみにしていました。

音声のメディアって、ほんとうにありがたい。
あのとき、声のメルマガがわたしの人生にあって、ほんとうによかったな、って。
活字や映像と違って、具合が悪くて横になっていても、目を閉じていても、耳を傾けることができる。
流産の手術をして帰ってきたあの日も、ベッドに横になって、この声のメルマガを聴いていました。
夫が仕事で不在のあいだ、ひとり家のベッドで横になりながら聴く大好きな人たちのしずかなおしゃべりが、温もりのある声が、わたしの悲しみを癒してくれました。
まだ麻酔の影響が残っていたので、いつの間にか眠ってしまっていました。

みれいさんは
「お便り、待ってますね」
「お返事はなかなかできないけど、頂いたものは、必ず全部読んでいます」と、折にふれておっしゃっていました。

それを聞いて、わたしはなぜか、ほんとうになぜか、
「配信のたびに、感想をお手紙に書いて送ろう」と思いました。
このメルマガが、当時のわたしにとって、ほんとうに助けとなっていて、その感謝の気持ちは、何かのかたちで表現しなければ、永遠にみれいさんに伝わることはないのだから、お手紙にして送ろう、というようなことを思っていたかな。

メールだと、パソコンの画面をずっとみていることになって疲れちゃうので、便箋に手書きで文字を綴っていきました。

メルマガが配信されるたびに、毎回毎回感想のお手紙を書きました。

そのあいだに、治療を再開したり、うまくいかなかったりで、結局わたしは2018年秋にクリニックに通うのをやめました。
けっこう大きな決断でしたが、さっぱりした心持ちでした。
(でも、人生は続くのですよ…治療をやめたその後の葛藤については、またいつか機会があったら書いてみたいと思います)

毎回毎回お手紙を書いているうちに、なぜだか、わたしはちょっとずつ元気になっていきました。

みんながやっている出産や子育てというものをしない人生をわたしは歩むことになるんだ、こころも身体もたくさん疲れちゃった…この焼け野原みたいな、まっさらな更地みたいなところから、またわたしは自分の人生をつくっていくんだな、って。
少しずつ少しずつ、自分の人生を受け入れていくようになったのだと思います。

「必ず全部読んでいます」という、みれいさんの言葉を頼りに、わたしは言葉を綴っていきました。
読んでくれる人がいるというだけで、想いを言葉にして綴るというだけで、わたしは自然に癒されていったのだと思います。

お手紙を毎週書くという行為。
わたしにとって、それはセラピーだったのですね。

お手紙セラピー。

「書くことの魔法」の原体験は、お手紙を書く、だったのかもしれません。

***

不妊治療をやめる決断をした頃に書いたお便りが、声のメルマガ内で読まれたときには、たいそうびっくりしました。
びっくりしたけれど、みれいさんのこころのこもったお返事がとても嬉しかったです。

***

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